台湾の有力スタートアップがいま、日本を目指す3つの理由:なぜ中国ではないのか(1/3 ページ)
台湾の有力なスタートアップが近年、相次いで日本進出を果たしている。今夏、新興30社超が東京に集い、台湾政府が後援する日台スタートアップ交流イベントも催された。なぜこのタイミングなのか。そして、巨大なマーケットを持つ中国ではなく、日本を目指す理由は何なのか。
台湾の有力なスタートアップが近年、相次いで日本進出を果たしている。今夏、人工知能(AI)などに強みを持つ新興30社超が東京に集い、日本のスタートアップや投資家らと交流するイベントが開催された。イベントは台湾政府の国家発展委員会が後援し、国家レベルで日台スタートアップの交流を促す。なぜこのタイミングなのか。そして、巨大なマーケットを持つ中国ではなく、日本を目指す理由は何なのか。
「これまで台湾は米シリコンバレーとのつながりを重視してきたが、今後は日本のスタートアップとの連携を強化し、日本のスタートアップの台湾進出を歓迎する」
7月5〜6日、東京・六本木で開かれた「日本・台湾スタートアップサミット2022」。開幕にあたり、イベントを後援する国家発展委員会の高仙桂副主任委員(副大臣に相当)はこう抱負を述べた。
イベントは、新型コロナウイルスが収束した「アフターコロナ時代」を見据え、日台の経済交流や貿易向上を目的に、両国のスタートアップの交流を促そうと開催した。主催団体によると、台湾から30社超が来日し、関連イベントに約1000人、日本の投資機関や投資家ら100人以上が参加するなど、日台のスタートアップ交流イベントとしては過去にない規模となった。
イベントに参加した台湾スタートアップに、日本進出を目指す理由や抱負を尋ねると(1)デジタル化に本腰を入れ始めた日本への期待(2)日本の文化や商習慣への親近感、そして(3)中国進出にかかるコスト面の不安――といった声が挙がった。
アジア随一のインフルエンサーマーケティング企業が日本進出
「デジタル化が遅れていた日本がここ数年、政府が先頭に立ってDXに本腰を入れている気運を感じた。ならば進出は今だと決断した」
こう話すのは、21年9月に日本法人を設立した「アイカラ」(iKala)創業者の程世嘉・最高経営責任者(CEO)だ。同社は、独自のAI技術とビッグデータを活用し、アジア最大規模のインフルエンサーマーケティングのプラットフォーム「KOL Radar」を運営する。
台湾やマレーシア、タイなどでサービスを展開し、21年10月には台湾政府が有力なスタートアップを「NEXT BIG」として表彰する9社のうちの1社に選ばれた。
15万人を超えるインフルエンサーの関心領域や投稿頻度といったデータをAIで分析し、ネットマーケティングを行いたい消費財メーカーに、最適なインフルエンサーを提案し、両者を結びつける。従来にない「正確なマーケティング」(程氏)の実現を目指している。
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