泥沼化していた「シダックス」買収問題はどうなる? 社内対立、コロワイドの撤回、オイシックスの狙い:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
泥沼化していたシダックスの買収問題。コロワイドが提案を撤回したことが明らかになったが、今後どうなっていくのか。
経営陣の意見が分裂
シダックスを巡るM&Aについては、同社経営陣の意見が分裂してしまっていた。オイシックス側に付く創業家と、「別の提案も受けている」としてコロワイド側に付いているように見える取締役会だ。
ユニゾンはコロワイドに限らず、第三者からの提案もあるのならば比較検討すべきという態度。コロワイド側に付いているように見えるが、ユニゾンに確認すると、その見え方は事実と異なる。ユニゾンは、オイシックスを嫌って妨害しているわけではない。また、ユニゾンには、コロワイドと通じている人もいないとのことだ。
公表されてはいないが、コロワイドはシダックスの給食などフードサービス事業買収に関して、オイシックスよりもはるかに有利で魅力的な条件を提示したらしい。
しかし、シダックスの社内は、コロワイドの提案に賛成で一本化されているのではなく、オイシックスに賛同する意見も多いという。複数の事業子会社が、オイシックスの高島宏平社長宛に、買収に賛成する書簡を送っているそうだ。シダックス労働組合有志も13日、コロワイドの買収案に反対する旨の書簡を、シダックス取締会に提出した。
まさに、創業家=オイシックス派と、取締役会=コロワイド派(もしくは反オイシックス派)、社内は真っ二つに割れて、お家騒動の混迷が深まっていた。
取締役会は、振り上げた拳をどう収めるのかが注目される。
創業家の志太会長兼社長は、クーデター勃発により自分の会社の広報を通じて意見を出すことがしにくいのか、沈黙しているように見える。
また、創業者の志太勤氏は、12日のTBSのインタビューで、「オイシックスに野菜の調達を応援してもらえば、弱かった病院給食にも強くなれる」と、オイシックスへの期待を表した。
志太氏は「コロワイドは業種が違うので、うまくいかないのではないか」と見解を述べた。
一方で、シダックス取締役会が強調するのは「企業価値の向上」。「TOBに絶対に反対ではないが、なぜ今なのかという思いがある」とのこと。TOBが終わってしまえば、コロワイドや、さらに出てくるかもしれない他社の提案を検討できないと言っていた。
シダックス株の9月14日における東証終値は634円。それに対して、オイシックスは1株当たり541円で買い付けている。取締役会としてはそこが不満のようだ。オイシックスの買い付け価格が現在の株価より低いので、オイシックスの提示した買い付け価格に応じる競合者はいないと踏んでいる。
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