スーパー高校生の才能を生かせなかった、キャリア教育の悲劇:知られていない(2/3 ページ)
千葉大学が1998年に全国初で導入した「飛び入学」。高2で千葉大に進学できた方が、大学院修士課程まで進んだものの、現在トラックの運転手をしているということが何度か報道されました。
世に知られていない大学院生キャリア
ネット記事などでも日本有数の国立大学で博士号まで取得した人が、バイトすらままならない非正規な立場に置かれる、「超高学歴ワーキングプア」ネタがたびたび取り上げられます。また大学院生のキャリア状況を全く知らない人から「博士課程に進んだら人生詰む」とアドバイスを受けたという話も多くの博士後期学生から聞いています。
私は15年の大学院生のキャリア支援を通じて、何百社もの博士受け入れ企業を開拓してきました。国立上位校博士後期課程を修了し、民間企業にキャリアを得る学生を今も多数指導しています。15年前と違い今は、博士というだけで門前払いするような大手製造業はまずありません。
むしろ上場や大手メーカーの方が博士採用の可能性は高いので、学生の企業選択も修士や学部とは視点を変えることを指導しています。一方で民間就職以上に厳しく、狭き門であるアカデミアの進路についても、単に博士号があるから程度で進めるキャリアではないことを教えています。むしろ支援してきた学生でアカデミックポジションに進んだ博士学生は、民間企業でも堂々と通用するようなコンピテンシーの高い者が中心と感じます。
国立上位校の理系であれば学部生の9割以上が修士に進学します。バリバリの基礎研究をしていても民間企業に就職する院生は、修士はもちろん博士でも普通にいます。研究テーマだけで採否を決める企業はまずありません。高いインテリジェンスと、研究で培った課題発見・設定能力をちゃんとアピールできれば実際に採用されています。企業のメガネに叶わず採用されないのは、文系学部生であっても全く同じ状況です。
関連記事
- ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.