デジタル化で「うまくいった」「失敗に終わった」 飲食店の決定的な差:石角友愛とめぐる、米国リテール最前線(1/6 ページ)
外食産業のDXの重要性が問われる中、デジタル化をしてうまくいく企業とうまくいかない企業があります。その違いはどこにあるのでしょうか。
外食産業のDXの重要性が問われる中、デジタル化をしてうまくいく企業とうまくいかない企業があります。その違いはどこにあるのでしょうか。
今回は、失敗事例と成功事例をもとに外食産業のDXにおける大事なポイントを考えたいと思います。
ITを駆使した「ブルースターバーガー」が閉店
ITを駆使していることで一躍有名になったものの、数年で閉店に追い込まれてしまった例として、ハンバーガー専門店の「ブルースターバーガー」があります。「焼肉ライク」を日本全国で展開するダイニングイノベーションによるチェーン店で、2020年のオープン当時には連日お店の前まで人があふれかえるほどの人気でした。
そんなブルースターバーガーは今年7月31日に完全閉店に至りましたが、この大きな理由として考えられるのが「IT活用そのものが目的化してしまったこと」です(関連記事)。
ブルースターバーガーでは、ITを駆使した「超スマートモデル」を売りにして、オーダー・決済・受け取りまでの全てを完全非接触で実現しました。
「完全キャッシュレス・テークアウト専門」とすることで、家賃や内装費・人件費といった経費を極限まで軽減。その分を商品原価に投資することで、驚異の原価率68%を実現しました。なお、飲食店の通常の原価率は30%程度とされています。
コロナ禍ということもあり、ニューノーマル時代に即したこの新しいビジネスモデルが「世界ブランドを目指す、日本外食DXの成功例」として注目を集めました。
しかし、現金決済が主流の日本で完全キャッシュレスを実現することのハードルが高かったことに加え、「テークアウト専門」という店舗形態もなかなか定着せず、座席や接客人員が必要となる店舗も増えるなど、経費削減のための大前提が崩れてしまいました。
さらに、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した原材料高騰など、想定外の外的環境変化の影響もあり、最終的にはハンバーガーの品質担保が難しくなってしまいました。
こうした要因が重なり、オープンから2年も経たずに撤退を余儀なくされてしまったのです。
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