ビールや水着の「キャンペーンガール」が次々と消滅 ポスターが盗まれるほど人気だったのに、なぜ?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/7 ページ)
キャンペーンガールやイメージガールが減っている。かつては商品をアピールするための大きな役割を担っていた。企業が取りやめる背景とは?
スーパードライの躍進
また、ビール会社がキャンペーンガールを選定するようになったのは、アサヒが87年に「スーパードライ」を発売してからだ。この商品のPRのために、全国各地を宣伝して回る役割をイメージガールは担っていた。
各地の放送局の番組やイベントに出演したり、事業所の社員を励ましたりしたが、売り出し中のタレントなのでマネージャーが同行せず、電車や飛行機のチケットを自分で購入して駆け回るケースも多かったという。イメージガールの選考には、明るく元気でフレッシュというコンセプトが重視された。
キレを重視した味もさることながら、PRも効いてスーパードライは業界トップブランドに登り詰めていく。87年当時のビールメーカー別市場占有率は、キリンが約57%を占めて断然トップ。2位はサッポロの約21%、アサヒは3位で約13%にすぎなかった。ところが、翌年にはキリンが約51%に大幅減、サッポロも約20%と伸び悩み、アサヒがいきなり約21%に伸長してサッポロを抜いて業界2位に躍進した。
スーパードライのひとり勝ちに驚いた他の3社も、慌ててドライビールを開発。ドライ戦争が勃発した。また、キャンペーンガールを使う宣伝方法も、追従した。サッポロは87年、サントリーは88年、キリンは90年からキャンペーンガールを採用し始めた。
その後もスーパードライは売れ続け、98年には約40%に到達し、キリンの約38%を逆転した。サッポロは約17%にシェアを落とした。
芸能界への登竜門
キャンペーンガールは、芸能界への登竜門の1つとされ、多くの女優、タレント、モデルが巣立って行った。既に引退した人、中には今は別分野で活躍している人もいる。
前出のアサヒビール以外で、主なキャンペーンガール経験者は次の通り。
秋川リサ(帝人)、風吹ジュン(ユニチカ)、アグネス・ラム(資生堂、旭化成、大磯ロングビーチ)、夏目雅子(カネボウ)、浅野ゆう子(カネボウ)、斉藤慶子(日本航空)、鈴木保奈美(カネボウ)、石田ゆり子(全日空)、杉本彩(東レ)、蓮舫(クラリオン)、鈴木京香(カネボウ、サントリー)、飯島直子(カネボウ、キリンビール)、松嶋菜々子(旭化成)、米倉涼子(ユニチカ)、釈由美子(サントリー)、宮地真緒(旭化成 )等々、枚挙にいとまがない。なお、山口智子と藤原紀香はアサヒビールだけでなく東レのキャンペーンガールも務めた。
関連記事
- レゴランドってそんなにひどいの? 家族を連れて行ってみた
「隣接する商業施設からテナントが撤退」「水筒の持ち込み禁止」などのニュースで注目を浴びているレゴランド。ネット上では酷評する声もあるが、実際はどうなのだろうか。記者が家族を連れて遊びに行ってみた。 - なぜ女子の半分が泳いでないの? ジェンダーレス水着の開発者が語った“忘れられない光景”
フットマークのジェンダーレス水着が話題になっている。性の悩みだけでなく、さまざまな理由で「肌を隠したい」生徒のニーズに対応するのが狙い。開発者にその背景を聞いた。 - パソナの淡路島移転計画はどうなっている? 家族で引っ越した社員が語ったリアルな日常
パソナが着々と社員の淡路島移住を進めている。実際に働いている社員はどういったことを考えているのか。現地で増えている商業施設の状況も取材した。 - 290円ラーメンに250円定食 びっくりドンキー、幸楽苑、なか卯で進む「朝食革命」の正体
朝食に力を入れる外食チェーンや飲食店の動きが目立ってきた。ハンバーグ専門店「びっくりドンキー」、タピオカや台湾料理の専門店「春水堂」などが参入している。どのような戦略を打ち出しているのか。 - スシローとくら寿司 「価格帯」と「シャリ」から見えた戦略の“決定的”な違いとは
大手回転寿司チェーンのスシローとくら寿司。標準的な寿司の重さはほぼ一緒。しかし、価格とシャリの違いから戦略の違いが見えてきた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.