ビールや水着の「キャンペーンガール」が次々と消滅 ポスターが盗まれるほど人気だったのに、なぜ?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/7 ページ)
キャンペーンガールやイメージガールが減っている。かつては商品をアピールするための大きな役割を担っていた。企業が取りやめる背景とは?
繊維メーカーが起用した背景
70年代に入ると、繊維メーカーがキャンペンガールを起用して、川下のアパレルの販売を促進しようとした。その背景には、日米繊維交渉がある。
69年に「安価な日本製品が増加したので、米国の産業が衰退した」という、米国繊維業界の主張を支持したニクソン大統領が就任。日本の繊維産業は内需拡大に舵を切らざるを得なくなったのだ。
また、72年には沖縄返還があり、沖縄をはじめとする国内のリゾート開発が進められることになる。「夏」「沖縄(などリゾート)」「水着」はワンセットのイメージとして、キャンペーンガールを通して発せられた。
ビキニをはじめとするファッション性の高い水着が、キャンペーンガールによって発信され、泳ぐための競泳用水着とは一線を画した。そして、リゾートのビーチサイドやプールサイドで映える水際着が発達していった。
70〜80年代にかけては、アイドルブームが起こった。アイドルは夏の水泳大会といったTV番組に出演。また、水着のグラビアは芸能雑誌の華であった。
各繊維メーカーは、68年のカネボウを皮切りに、70年にユニチカと帝人、76年に旭化成、80年に東洋紡、81年に東レが、続々とキャンペーンガールの登用に踏み切った。
また、繊維以外でも、多くの業種の企業がキャンペーンガールを起用した。前出の化粧品の資生堂やコーセー、カネボウ(繊維と両分野で選定)、航空の日本航空、全日空、カーオーディオのクラリオン、カーエアコンのサンデン、タイヤのブリヂストン、ダンロップ、リゾートプールの大磯ロングビーチ(大磯プリンスホテル)といった企業がキャンペーンガールを採用して、PRを行った。
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