アジア食品が約2000種類! 「亜州太陽市場」の人気商品は?:マニアックな商品も(5/5 ページ)
2021年11月に吉祥寺で誕生したアジア食品専門店「亜州太陽市場」が店舗を増やしている。一番のウリは、アジアの食品を約2000種類も取りそろえていること。同店はアジアトレンドの発信地となるのか。千歳船橋店を訪れ、話を聞いた。
課題は見えづらい「商品価値」をどう伝えるか
アジア17の国と地域の食品に加え、コスメも取り扱う亜州太陽市場。駅前で立地がよく、レアなアジア食品を手に入れるのに最適な場所ではある。一方で、何度も通うのは一部のアジアファンぐらいかもしれない。商品の魅力を広く伝えていく難しさは、今まさに感じている課題だという。
「パッと見て商品の価値が分かるものは、キムチや麺類など韓国の有名な食材ぐらいです。多くのお客さまにとって、食べたことがない物珍しい商品だらけという状態。ですので、おいしい食べ方を伝える、試食を出すなど商品価値を伝えることができなければ売れません」(下沢氏)
確かに、食べてみたいと興味をそそられたとしても、「もし口に合わなかったら……」という不安から購入を見送ることは大いにありそうだ。
「例えば、韓国でよく食べられている白菜の漬物は、袋から酸っぱそうなニオイが漏れるほど酸味が強いんです。そのニオイから敬遠されがちですが、春雨や豚肉などと一緒に炒めたり、鍋の具材にしたりすると酸味がまろやかになっておいしく食べられます。多くの商品はただ並べてもダメで、現地のおいしい食べ方を伝えてこそ売れる。売り方の工夫が、より一層求められます」(下沢氏)
現状は、InstagramやTwitterで商品を紹介したり、店頭で試飲や試食をしたり、売り場のポップを工夫したりして、商品価値を伝える努力をしているという。
下沢氏のいう通り、認知や購入までのハードルは一般食品より高くなる。刑部氏は「動画を使ったPRについても考えている」と話していたが、インフルエンサーとコラボレーションしてバズる仕掛けをつくったり、手間暇かけた動画で商品の魅力を分かりやすく伝えたりするPR戦略が求められる気がした。ひとたび話題になる商品が出てくれば、希少性の高さから市場の売り上げを独占できるかもしれない。
シャディでは、都心部へのさらなる店舗拡大も目指すという。亜州太陽市場がアジアトレンドの発信地となるには、積極的な話題づくりがキモになりそうだ。
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