絶対に言ってはいけない、部下へのNGアドバイス:働き方の「今」を知る(3/6 ページ)
「私の若い頃は……」「お前のためを思って……」など、上司が自己満足で行うアドバイスは部下に嫌われ、信頼低下につながりかねない。正しくアドバイスを伝え、部下を導くにはどうしたらいいのか。見落としがちなコミュニケーションのポイントを解説する。
絶対に言ってはいけない、部下へのNGアドバイス
もし、アドバイスのつもりで言っていることや普段の言動の中に、意識せずこのようなキーワードが紛れ込んでいる心当たりがあれば要注意である。
「昔は……」「私の若い頃は……」
昔と今とでは、社会情勢も景気も仕事の密度も、全ての背景事情が違う。変えられない前提条件を出しても意味がない。
「お前のためを思って……」
そう言えるのは、本当に相手のためになるか否かを判断できるくらい、相手のライフプランやキャリアプランまでをも熟知できている、信頼関係が強固な場合だけだ。そうでなければ、「相手のため」という都合の良い大義名分をもって、相手をコントロールしようとしているにすぎない。
「このままじゃウチで/社会で通用しないぞ!」
上記と同じく、相手の将来を心配している風を装いながら、「俺の言うことを聞け」とマウンティングしていることと同義である。本当に相手のためを思い、成長を願っているのなら、そんな脅迫的な言い方はしない。
「今苦労しておけば、後で楽になるぞ!」
確かに個人的にそのような実体験があったのかもしれないが、だからといって「今現在の苦労」に対する解決策になっていなければ意味がない。単に希望的観測を述べるだけで、相手が現在おちいっている苦境にまつわる訴えを押さえつけようとしているだけだ。
「そんなのよくあることだよ!」「まだまだ若いな!」「いつか気付く日がくるよ!」
指摘自体は事実なのかもしれないが、相手が今抱えている苦悩や葛藤、焦燥といったネガティブな感情に対して向き合っておらず、解消もできていない。
年齢差や経験差によるマウンティングの一種のようにも感じられ、うっすら見下されているようにも捉えられてしまうだろう。
「っていうかさ、」「お前はそう言うけど、」「いや、そうじゃなくて……」
相手の言い分を十分に傾聴しないまま、否定的なニュアンスからアドバイスを始めてしまうことで、「この人は私の話を全く聞いてくれず、自分の言いたいことを言って終わりだ」と感じさせてしまう。
いずれも、一つ一つはささいなことかもしれないが、その積み重ねで、気付かないうちに相手に不快感や不信感を抱かせてしまい、あなた自身の信用までも毀損(きそん)してしまっているリスクがある。しかも、相手はあなたに面と向かって指摘できる人であるとは限らない。自分で意識し、改善を続けていくしかないのだ。
「『求められないアドバイスはするな!』『アレを言うな!』『コレを言うな!』というけれど、業務上どうしてもアドバイスする必要が出てきたら、どうすればいいんだ!?」──とお嘆きの方に対しては、「コミュニケーションサイクル」を意識して助言することをお勧めしている。
関連記事
- 「課長まで」で終わる人と、出世する人の決定的な差
「『課長まで』で終わる人と、出世する人の決定的な差」とは何か? がむしゃらに働いても、出世できる人とそうでない人がいる。その明暗を分けるたった1つのポイントを、解説する。 - “スーツ姿の客”がネットカフェに急増 カギは「PCなし席」と「レシートの工夫」
コロナ禍で夜間の利用者が激減し、インターネットカフェ業界は大きな打撃を受けた。そんな中、トップシェアを誇る「快活CLUB」では、昼にテレワーク利用客を取り込むことに成功、売り上げを復調させた。そのカギは「PCなし席」と「レシートの工夫」にあるという。どういうことかというと……。 - 延々と残業する部下に困っています どうしたらいいですか?
延々と残業する部下に困っています。残業時間を減らすように注意しても、あまり改善されません。どう対処すれば良いのでしょうか? - 「課長にすらなれない」──絶望する40代社員が増えるワケ
真面目に勤めてきたが、上の世代とは違い「課長にすらなれない」──そんな状況に絶望する40代社員が増えています。減り続ける管理職ポストの実態と、深刻な賃金格差とは。「肩書きなき40歳問題」について河合薫氏が解説します。 - アマゾンの新しい返品方法 お金を返し、商品は回収しない──なぜ?
米国は、日本に比べて返品OKの小売店が多い。米アマゾンなどの大手小売りでは、返金するのに商品は回収しない「Keep it」という新しい返品方法が進められている。なぜ、このような手法を取るのか?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.