絶対に言ってはいけない、部下へのNGアドバイス:働き方の「今」を知る(4/6 ページ)
「私の若い頃は……」「お前のためを思って……」など、上司が自己満足で行うアドバイスは部下に嫌われ、信頼低下につながりかねない。正しくアドバイスを伝え、部下を導くにはどうしたらいいのか。見落としがちなコミュニケーションのポイントを解説する。
コミュニケーションサイクルとは
コミュニケーションサイクルを意識した助言とは、いきなり本題のアドバイスをズバズバぶつけるのではなく、何段階かのコミュニケーションの「クッション」のようなものを用意し、かつ相手が「アドバイスを受け容れやすい状態」になるように外堀を埋めてから助言をする、という方法だ。
文章で説明すると長くなるため、まずは図をご覧いただきたい。「サイクル」というだけあって、やるべきことが環状に連なっているのが分かるだろう。
これまで見てきた「ダメなアドバイス」のパターンは、相互理解に必要な前段階のステップを全てすっ飛ばして、いうなればこの図の「(4)意見」だけを相手にぶつけている状況なわけだ。
普段から十分なコミュニケーションをとっている家族間や恋人間でさえも、いきなりアドバイスをするのは嫌われる。ましてや、普段は業務上の指示程度しかやりとりがないような、コミュニケーションの希薄な職場でのアドバイスならなおさらだ。まずは相手がアドバイスを受け入れられるだけの心理状態になるまで、時間をかけて信頼関係を構築しておく必要があるのだ。
とはいえ、さほど難しいことではない。普段無意識にしてしまっている「ネガティブな反応」もしくは「無反応」を、「ポジティブな口ぐせ」に変えればよいだけである。順番に見ていこう。
コミュニケーションサイクルの具体例
(1)共感
まずは、いくら相手が見当違いな意見を言い出したとしても言下に否定せず、「共感」して「受け止める」ところから始めよう。
NG反応
「いや……」
「でもね……」
「そうは言ってもさぁ……」
「だって……」
「そうじゃなくて……」
「っていうかさ……」
こちらを口グセに!
「なるほどね」
「そうなのか」
「そうか、君はそう考えるんだな」
「君はそういう意見なんだね」
「そういう視点もあるね」
「確かに一理あるな」
相手の未熟な考えに対してすぐに言い返したくなる気持ちはよく分かるのだが、共感もせずいきなり反論しては、コミュニケーションがうまくいくはずがない。自分と意見が違うからこそ、相手の意見をまずは「共感」し、「受け止める」ところから意識してみよう。
ただし、「共感」は決して「同意」ではないので、「共感ばかりしてると、相手を甘やかすことになるのでは?」「受け止めてばかりだと『賛成した』と思われるのでは?」などと心配する必要はない。
共感を出し惜しみすることなく、仮にあなたと違う意見であっても、まずは「そう考えるあなたの存在を認めるよ」という積極的な傾聴姿勢を相手に示すことが重要であり、そこから新しい対話が生まれていくものなのだ。
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