絶対に言ってはいけない、部下へのNGアドバイス:働き方の「今」を知る(5/6 ページ)
「私の若い頃は……」「お前のためを思って……」など、上司が自己満足で行うアドバイスは部下に嫌われ、信頼低下につながりかねない。正しくアドバイスを伝え、部下を導くにはどうしたらいいのか。見落としがちなコミュニケーションのポイントを解説する。
(2)深める
次の段階は「話を深める」だ。相手の話を傾聴し、意見を引き出し、心ゆくまで話してもらうことで、相手の気持ちをオープンにすることが目的である。
こちらを口グセに!
「ぜひ、そこのところを詳しく聴かせてほしいな」
「例えば、具体的にはどういうことなの?」
「いつくらいからそう思ってたんだい?」
「特に、どんなときにそう感じるの?」
「キミとしては、どういう風にできたらいいと思う?」
「キミの意見をきちんと理解したいから、詳しく教えて」
重要なのは、ここでアドバイスをしたくなる気持ちをグっと抑えて、相手の話に関心を寄せ、ただ「話を聴く」ことに徹することである。
相手の話を引き出し、とことん話をしてもらうことによって、相手には「心ゆくまで話ができてスッキリした」「じっくり聴いてくれてうれしい」「自分は大切にされている」という思いが生まれることになる。それだけで、相手がうっすら抱いていた不平や不満がかなり解消できたり、時間を確保して聴いてくれたあなたへの信頼感、親近感につながったりするものなのだ。
(3)確認
そして、相手から引き出した内容を「確認」する。相手にとっては話が正確に伝わっていることが共有でき、安心感と信頼感醸成につながる。
こちらを口グセに!
「なるほど、君はそういう風に感じていたんだね」
「このように変えてほしいと考えているんだね」
「君の話のポイントは○○と●●だと捉えたけど、大丈夫?」
「ここまでの話をいったん整理してみよう。ポイントは■■と□□ということでいいかな?」
「△△だと理解したけど、それで問題ないかな?」
「(1)共感」と「(2)深める」を意識するだけでも十分な効果はあるが、ヒアリングした内容に誤解がないか、こちらの理解が正しいかどうかを把握するため、いったん立ち止まって「確認」するのはさらに有効だ。
ヒアリングした要旨をまとめ、「あなたはこういうことを伝えたかったんだね」と丁寧に確認・共有することで、「そうなんです」との反応を引き出すことができれば、相手の中には「言いたかったことを理解してもらえた」という思いが生まれる。ここまで腰を据えて相手の話に向き合って確認できれば、相手の中にも安心感が生まれることは間違いないはずだ。
(4)意見
ここでようやく自分の「意見」を言う。ここまでの段階であなたは相手の主張に対して丁寧にケアをし、すでに相手は言いたいことを言いきっている。今度はあなたの話を聞こうとする心の準備が整っているはずだ。
こちらを口グセに!
「なるほど、君の言いたいことはよく分かったよ。でも会社としては、××という部分もあるんじゃないかな」
「私としてはこう思うんだが……」
「それに対しての僕の意見は、実はこうなんだ……」
「私の立場から言わせてもらうと……」
(1)〜(3)の段階で丁寧なヒアリングができていれば、ここからは多少強く自己主張しても、関係破綻するリスクは小さいものと考えられる。その際は一般論や正解を提示せず、ニュートラルに「私としては」という立場を保ちつつ、自分が伝えたいこと、伝えるべきことを明確に伝えるようにしたい。
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