「課長にすらなれない」──絶望する40代社員が増えるワケ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
真面目に勤めてきたが、上の世代とは違い「課長にすらなれない」──そんな状況に絶望する40代社員が増えています。減り続ける管理職ポストの実態と、深刻な賃金格差とは。「肩書きなき40歳問題」について河合薫氏が解説します。
私が入社した時は、40歳ぐらいでみんな課長になっていました。ところが、だんだんと景色がかわってきた。課長になれず、係長止まりの人がたくさん出てきたんです。係長っていっても、中身はヒラとほとんど一緒。給料も変わらないし、仕事内容もほとんど同じ。唯一の違いは、まわりより年上ってことくらいです。
私も係長ですが、コロナ禍前までは「うまくいけば課長になれるかもしれない」と思っていました。でも、今は絶望しかない。事業再編でポストが激減し、若手の抜擢(ばってき)にも注力しはじめ、40代の私は万年係長がほぼ決定です。
この先、給料も上がらず、“意識高い系”の年下の元で働かなきゃならない。転職といっても、私くらいの年齢で肩書きがないと、書類すら通らない。
河合さん(筆者)はよく、役職定年のおじさん会社の悲哀を記事に書いているじゃないですか。私のような役職にもつけない40歳はこの先、どうやって生きていけばいんですかね……。
こう話すのは、某大手企業に勤める黒田さん(仮名)。40代前半の男性会社員です。
深刻化する「肩書きなき40歳問題」
黒田さんが指摘する通り、50歳の役職定年問題はたびたび取り上げられるのに、「肩書きがつかないまま」で終わりそうな40代が取り上げられることは限られています。
しかし、現実を鑑みれば50歳問題と同じかそれ以上に「肩書きなき40歳問題」は深刻です。
新型コロナウイルスの流行、ロシアによるウクライナへの軍事進行、急激な円安、物価上昇……。さまざまな不安定要素が拡大する中、企業はこれまで以上にコスト削減に踏み切っています。
「物価は上がるのに賃金は上がらず、ポストは減らされ、今後も賃金は上がる見込みもない」という厳しい現実が、進行中なのです。
関連記事
- 「氷河期の勝ち組」だったのに……40代“エリート課長”に迫る危機
自分をエリートだと信じて疑わなかったサラリーマンが、社内の方針転換により出世のはしごを外されることがある。エリート意識や、能力主義への妄信が生む闇とは──? - “スーツ姿の客”がネットカフェに急増 カギは「PCなし席」と「レシートの工夫」
コロナ禍で夜間の利用者が激減し、インターネットカフェ業界は大きな打撃を受けた。そんな中、トップシェアを誇る「快活CLUB」では、昼にテレワーク利用客を取り込むことに成功、売り上げを復調させた。そのカギは「PCなし席」と「レシートの工夫」にあるという。どういうことかというと……。 - 年収が半減!? “働かない60代社員”を増やす、再雇用制度のひずみ
70歳までの就業機会の確保を努力義務とする改正高齢法への企業の対応を見ると、「60歳定年を維持したい」という企業の本音が透けて見える。そんな対応が生んだ、“働かない60代社員”を増やす、再雇用制度のひずみとは? 人事ジャーナリストの溝上憲文氏が解説する。 - 延々と残業する部下に困っています どうしたらいいですか?
延々と残業する部下に困っています。残業時間を減らすように注意しても、あまり改善されません。どう対処すれば良いのでしょうか? - ドムドムハンバーガー驚異の復活 風向きを変えた「3つの出来事」
「このままなくなってしまうではないか」と悲観されていた、ドムドムハンバーガーが復活し注目を集めている。最盛期の90年代には全国400店以上にまで拡大したものの、閉店が相次ぎ30店舗以下に。しかし、2020年度から最終黒字に転じて息を吹き返し始めた。その背景には何があったのか──?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.