「専業主婦=怠惰」の風潮はなぜ生まれる? 就労タイプを4分類して見えること:増え続ける“働く母親”(1/4 ページ)
働く母親は7割を超え、年々増加の一途をたどる。一方で、働きたくて働く母親、働きたくないのに働かざるを得ない母親など、その内実はさまざまだ。個人の願望などをもとに就労状況を4つに分類すると、就業をめぐる課題解決に向けたヒントが見えてくる。
本当は働きたくないけれど、勤労は国民の義務だから働かざるを得ない――。こうした考え方に立つと、働いていない人に対して否定的になり「怠けている」「気楽でいいご身分」などと見えてしまいがちです。
しかし、中には働こうにも働けない事情がある人もいます。また、働くことに対する考え方は人によって異なるものです。ツラいから働きたくないと思う人がいる一方、仕事とはやりがいや喜びを与えてくれるものであり、仕事が人生をより豊かなものにしてくれるなどと考えている人もいます。
それらの事情や考え方の違いは、いま現在働いているか否かという状況だけを表面的に眺めたところで見えてはきません。働いている人はみんな不本意だとか、働いていない人はみんな本意だなどと決めつけて十把一絡げにしてしまうと、実態を誤って把握することになりがちです。
働きたいかどうかの就業願望を横軸、働いているかどうかの就業状況の違いを縦軸として本意・不本意を整理すると以下の表のようになります。
就業願望があって就業中の人は、願いが実現している状態にあるため「本意型就業」者です。仕事にやりがいを感じていたり、働くことが好きな性分だったり、憧れていた職業に就くことができたりと背景はそれぞれ異なるかもしれませんが、いま働いている自分は望ましい状態にあります。
それに対し、就業願望はないのに何らかの事情で働かざるを得ず就業中の人もいます。本来は働きたくないわけですから、イヤイヤ働いている「不本意型就業」者です。学生から社会人になるとストレスを感じてしまう人が多いことを考えると、不本意度合いに程度の差こそあれ、かなりの人が不本意型就業者に当てはまるのかもしれません。
一方、就業願望はあるものの不就業の人は、何らかの事情で働きたくても働けず、就業できない状況を不本意だと感じている「不本意型不就業」者だと言えます。背景はさまざまあり、仕事を探しているのに見つからないケースもあれば、障がいや病気などの事情で働くことができないケースもあります。
その点、就業願望がなく不就業の人は、希望の状態を実現しているので「本意型不就業」者です。ただ、人生には仕事以外にもさまざまな艱難辛苦があります。本意型不就業者だから人生を気楽に過ごせている、とは限りません。しかし、働かないという選択ができていることから、特に働きたくないのにイヤイヤ働いている不本意型就業者からは羨ましい存在と見られがちです。
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