“断面萌え”で人気の「フルーツ大福」「フルーツサンド」 心配なのは、過当競争の行方:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
果物の摂取量が減少している一方、「フルーツ大福」「フルーツサンド」がブームになっている。筆者は過当競争に陥っているのではないかと指摘する。生き残るには差別化戦略が必要だ。
フルーツサンドをリアカーで引いて売る
フルーツサンドを、ピンクのリアカーを引いて売るという奇抜な新商売を始めた「フルーツサンド2933(フクミミ)」だが、現在は終了した。21年2月にプレ営業を始め、3月から本格稼働。中央区、新宿区、荒川区、渋谷区で移動販売を行い、雨天休止、不定休。目を引く販売の方法で、完売が続いていたというが、公式Twitterは22年1月から更新されていない。
現在は、銀座コリドー街の「串焼きBISTRO福みみ」にて、昼の時間帯にフルーツサンドを販売している。
5つ星ホテルにも卸す老舗青果店・磯辺商店三代目店主が目利きした果物を、市場から直送。程よい甘みと酸味があるマスカルポーネチーズをクリームに加えている。
経営はKUURAKU GROUP(千葉県船橋市)。外食、個別指導の教育事業、ECといった事業領域があるが、外食では東京都と千葉県に「串焼BISTRO 福みみ」「焼鳥くふ楽」など10店を展開。FC(のれん分け)も5店ある。
フルーツサンドは、居酒屋がお酒を出せず、夜に自粛せざるを得なかった状況で開発した。顧客がお店に来れないなら、お店の側から顧客の住んでいる場所に出ていくという考えで、移動販売を始めた。
しかし、居酒屋が再開するとともに、フルーツサンドを縮小している。フルーツサンドもそれだけ市場環境が厳しいということだろう。
過当競争が心配
フルーツ大福、フルーツサンドは断面萌えでヒットし、新規参入が絶えない。フルーツ大福は、歴史ある観光地に行けば必ずといっていいほどある。フルーツサンドは、スーパーやコンビニでも売っている。
どちらもまず果物ありきの商品なので、新鮮な果物さえ入手できれば誰でもできそうであり、差別化が難しい。
美容と健康のために、果物をもっと多くの人に摂取してもらおうという大目標が、過当競争の果てに潰えてしまわないか、心配もあるが、志ある企業が乗り越えて成長してほしい。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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