“断面萌え”で人気の「フルーツ大福」「フルーツサンド」 心配なのは、過当競争の行方:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
果物の摂取量が減少している一方、「フルーツ大福」「フルーツサンド」がブームになっている。筆者は過当競争に陥っているのではないかと指摘する。生き残るには差別化戦略が必要だ。
フルーツサンドに行列
“断面萌え”のフルーツサンドを開発し、ブームに火を付けたのは、愛知県岡崎市の「ダイワスーパー」。18年、同店を経営する大和の3代目社長に就任した大山晧生氏が、「100人の行列をつくる」を目標に設定。毎朝市場で味ききをして仕入れる果物のクオリティーと、果物を引き立てるクリームにこだわった「八百屋の作る本気のフルーツサンド」を販売した。
大山氏が、たまたまコンビニで見たフルーツサンドを買って食べたのが、開発のきっかけだったという。高品質で大粒な果物を使用したフルーツサンドは味も見た目もインパクトが抜群で、完売が続いた。社長就任時は経営が苦しく3000万円の赤字があったが、今はフルーツサンド専門店やカフェも構築。10億円ほどの年商になっている模様だ。
20年3月には、東京・中目黒にフルーツサンド専門店「ダイワ」をオープンしてこれもヒット。
出店コストを抑えた、コンテナを活用した店舗の「ダイワ」も愛知と静岡に3店あり、愛知と静岡では移動販売も行っている。
フルーツサンドをメインとするカフェ「ダカフェ」も、岡崎、東京、福岡に計5店展開している。
今年3月には、これまで1個平均700円だったフルーツサンドを、一部高級フルーツを除いて500円前後に値下げした。パンの厚み、自家製生クリームの量、果物の量の黄金比を変えずに、ワンコインで買えるように商品を見直した。テレビ番組で知己を得たニトリの似鳥昭雄会長の「お客さまに一番喜ばれることは安さ」というアドバイスを受けての実践だ。
そうした顧客が手に取りやすい価格の追求だけでなく、「ダカフェ」では果物をふんだんに使ったクレープ、かき氷などの商品を味わうことができる。岡崎市内にある本店は、田んぼの中にあるような郊外型の店だが、休日には行列ができる人気店となっている。
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