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プラチナバンドで楽天モバイルが妥協案、「非常時の事業者間ローミング」の検討も開始房野麻子の「モバイルチェック」(2/4 ページ)

9月26日週は総務省で注目の会合が2つ行われた。1つは楽天モバイルがプラチナバンドの割当てを求めている「携帯電話用周波数の再割当てに係る円滑な移行に関するタスクフォース(第12回)」、もう1つはKDDIの大規模通信障害を踏まえて立ちあげられた「非常時における事業者間ローミング等に関する検討会(第1回)」だ。

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周波数の有効利用がどう評価されるか

 移行期間、移行費用については、楽天モバイルがプラチナバンドを割り当てられたと想定して議論してきたが、そもそも割り当てられるかどうかは、まだ不透明だ。

 周波数の再割当ては(1)「電波の有効利用の程度が一定の基準を満たさないとき」、(2)「開設指針制定の申出があったとき」、(3)「電波の公平かつ能率的な利用を確保するための周波数の再編が必要と認めるとき」の3つの場合に可能になるが、楽天モバイルは(2)を利用してプラチナバンドを要望することになる。


10月1日以降、周波数再割当制度スタートすると、図の下段3つのケースで再割当てができるようになる(第10回会合 総務省の資料より)

 この場合、いかに周波数を有効利用できるか既存事業者と争うことになる。その有効利用評価の事項(方針案)には、基地局の数、人口カバー率、面積カバー率、データ通信量、 技術導入状況などがあるが、現状の楽天モバイルが既存事業者より上回る評価を得られるかといえば、なかなか厳しいと言わざるを得ない。


電波の有効利用評価方針案の概要(第12回会合 総務省の資料より)

 楽天モバイルは、低廉な料金プランを提供していることなどを評価項目に加え、総合的に判断してほしいと望んでいるが、有識者の中にはそうした楽天モバイルの考えに反対し、「既存事業者よりも周波数あたりの利用効率が高くなるという具体的な根拠が必要」と指摘している人もいる。

 現時点で評価事項は「案」なので、楽天モバイルが望む通り料金面などが考慮されて、楽天モバイルにプラチナバンドが割り当てられるかもしれない。あるいは既存事業者よりも電波を有効利用できないと判断され、プラチナバンドが与えられない結果となるかもしれない。改正電波法が10月1日に施行されて周波数の再割当制度がスタートすれば、楽天モバイルはすぐにも申出を行うと考えられ、ますます行方が注目される。

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