16億円もかけたのに、なぜ「国葬」がチープに感じたのか 「低賃金」ならではの理由:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
16億円をかけた「国葬」が、その額のわりに「安っぽい」という指摘が出ている。確かに、パイプ椅子が並んでいたり、祭壇が薄く見えたりしたが、それ以外にも理由があるのではないか。筆者の窪田氏は「安いニッポン」が影響しているのではないかと見ている。どういうことかというと……。
16億6000万円を投入した「国葬」が、その額のわりにあまりに安っぽかったのではないかという指摘が相次いでいる。
例えば、SNSやネット掲示板では、祭壇がかなり薄く見えるような横からの写真や、会場にパイプ椅子が並んでいる写真ともに以下のようなコメントが寄せられている。
『安倍さんの国葬、あまりにも「ハリボテ」で世界中が大爆笑』
『体育館でパイプ椅子だしな これ半分全校集会だろ』
『オグリキャップの葬儀でつくられた祭壇のほうが豪華だった。中抜きされているとしか思えない』
愛国心あふれる方からすれば、怒りのあまりどうにかなってしまうほどの「不謹慎発言」のオンパレードだが、実は同様の指摘は、国葬を目にした海外メディアからも寄せられている。
例えば、米ウォール・ストリート・ジャーナルは、「Shinzo Abe State Funeral Draws World Leaders, Protesters」(9月27日)の中で、国葬礼賛派が一番言われたくないことをチクリとやっている。
「エリザベス女王の豪華な国葬とは対照的に、安倍氏の国葬は式典への長い行列や大規模な軍事展示を特徴とせず、祝日でもなかった」
要するに、13億円をかけたエリザベス女王の国葬が、2.4キロに及ぶ葬列で国民に見送られたり、英国国教会やイギリス軍が厳粛な雰囲気の中でセレモニーを行い、豪華絢爛(ごうかけんらん)な印象を世界に与えたのに対して、16億円をかけた日本の国葬はかなりチープな印象を受けたというワケだ。「菅さんの弔辞で涙腺崩壊」と感動に包まれた方からすれば不愉快極まりない話が、国内外で多くの人々が「なんか安っぽいな」と感じてしまったのは紛れもない事実なのだ。
関連記事
- スノーピークは「法的措置」を準備してはいけない、これだけの理由
アウトドアブランドの「スノーピーク」が、怒りのリリースを発表した。同社の山井梨沙社長が「不倫辞任」したことに対して、全く関係のないデマが増えているので、やった人間を訴えると警告しているのだ。しかし、スノーピーク社のスタンスにもやもやしている人も多いのではないだろうか。なぜかというと……。 - 「大量閉店」に追い込まれたのに、なぜクリスピーは“復活”したのか
クリスピー・クリーム・ドーナツの売り上げが好調だ。売り上げが落ち込んで大量閉店に追い込まれたのに、なぜ復活できたのだろうか。取材したところ、2つの理由が浮かんできた。 - ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。 - 東芝に売られた事業が軒並み好調な事情
2016年以降、東芝に売られた事業は、医療機器事業、白物家電事業、スマートメーター事業、メモリ事業、パソコン事業、テレビ事業と目白押しだ。そしていずれも見事に独り立ちして成長しているのだ。その意味を考えてみたい。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.