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「水素エンジン」は本当に実用化するのか トヨタの本気が周りを動かし始めた高根英幸 「クルマのミライ」(2/4 ページ)

水素エンジンが急速に注目を浴びている。燃料電池による水素利用によって、水素エンジンの可能性を引き上げたわけだが、本当に実用化するのだろうか。

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水素はさまざまな燃料と組み合わせても燃やせる

 純粋に水素だけを燃料とするのではなく、既存の燃料と組み合わせる「混焼」も水素利用では、珍しくない。むしろ安定して燃やすためには、まず混焼させる、という考え方が一般的で、トヨタの水素エンジンはかなり大胆なアプローチだ。

 もちろん前述のようにBMWやマツダが水素だけを燃やすことに成功しているから、基礎的な技術は確立されているが、トヨタは手探りで技術をモノにしているのだろうから、やはりスゴいと思う。

 ちなみに既存のエンジン車で燃料と組み合わせる水素発生器はかなり以前から研究されており、実用化もされていた。9月に開催された展示会「FC EXPO」でも、米国のベンチャーが開発した水素発生器が展示されていた。


FC EXPOで展示されていた米国HOD Tec社のD-HAT。ディーゼルエンジンに追加装着することにより、燃費は10%以上向上しPM(黒煙の主成分である粒状物質)は64%も削減できるとか。それによりメンテナンス費用も抑えることができるため、環境性能と経済性に優れるというのは魅力だ

 トラックのディーゼルエンジンに搭載することで軽油と水素の混焼を実現するもの。燃料の消費を抑え、CO2排出も抑えることができるというもので、燃料費の多い運輸業の場合、2年ほどで導入コストの元が取れるようだ。

 水素という目に見えないモノをガソリンや軽油、灯油、石炭など従来の燃料と混ぜて燃やせるのか? と思う方もいるだろう。しかし化石燃料は炭化水素が成分であり、つまりはカーボンと水素が結合した状態。

 燃やされるとそれぞれが酸素と結合してCO2とH2O(水蒸気)になって排出されるので、水素だけを燃やせば水蒸気しか排出されないことになる。しかも液体燃料は液体のまま燃えるのではなく気化して燃えるので、気体である水素は問題なく混焼できるのだ。

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