リクルートの週休約3日制 “休める組織”を実現できたワケ:取得率98%(1/2 ページ)
リクルートは2021年4月、年間の休日を145日とする週休約3日制を導入した。一般的な週休3日制とどのような点が異なるのか? また人事部が考案した”休ませる仕組み”が現場に与えた影響とは?
リクルートホールディングス傘下のリクルートは、2021年4月1日の関連7社統合を機に、同社の従業員約1万6000人を対象にした「フレキシブル休日」制度を導入した。これは、暦上の土日祝日や年末年始などの各種休暇、年次有給休暇とは別に、年間15日前後(暦に合わせて変動)の休日を自分で設定できるというものだ。
フレキシブル休日の導入で年間の休日は145日に増え、週当たりの休日に直すと約2.8日という“週休約3日制”になった。年間の所定労働時間(1800時間)については、1日当たりの所定労働時間を7時間30分から8時間に変更することで維持し、給与額の変更などもない。
フレキシブル休日について、リクルート スタッフ統括本部 人事 人事統括室 室長の蝦名秀俊氏は「リクルート各社を統合するに当たって、マネジメントポリシーやそこに向けた制度をどう作っていくかを議論していた。出社しないことを前提にしたリモートワークも全社的に導入したが、そうした働き方がさらに進んでいったときの、10年くらい先を見据えた制度」と説明する。
「リクルートの経営理念のひとつに『個の尊重』がある。個人のワーク・ライフ・バランスがある中で、一人一人の働き方や状況に応じて働く・休むのメリハリをつけやすくするのが狙い」(蝦名氏)
2日しか休まなかった週の翌週に4日の休みを取るといった自由度の高さも、自分で休日を設定できるフレキシブル休日制度ならではだ。「画一的に週4日働き、3日休むということではなく、休み方も柔軟に設定できることをコンセプトに年間の休日を増やした結果、週約3日制になった」と蝦名氏。
休日が増えた分1日当たりの労働時間は平均で15分延びたものの、年間の総労働時間は平均50時間ほど減少したという。フレキシブル休日の導入は年間総労働時間の短縮にも効果があったようだ。
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