調査リポート
約9割が必要と感じる「人的資本開示」、実施は6割どまり 何が課題?:経営者らに聞いた(2/2 ページ)
人的資本開示に関して、日本企業はどのような取り組み状況なのか。エッグフォワード(港区)が調査を実施した。
「既に取り組んでいる」もしくは「取り組んでいないが、予定している」と回答した人に人的資本開示への取り組みに関して課題を感じるか尋ねたところ、感じている人が94.4%を占めた(「非常に感じる」42.7%、「やや感じる」51.7%)。
どのような課題?
どのような課題を感じているのか。課題を感じる人に聞いたところ、最多の回答は「具体的な進め方が分からない」(53.6%)、次いで「社内データの集め方が分からない」(45.2%)、「手探り状態で正解が分からない」(42.9%)と続いた。
自社のみのリソースで人的資本の開示をすることは難しいと思うかを問う質問には、約72.1%がそう思うと回答した(「非常にそう思う」33.6%、「ややそう思う」38.5%の合計)。
難しいと考える回答者に今後人的資本開示までの流れやルール・指標の設定を外部に支援をしてもらいたいか聞いたところ、96.0%の担当者がそう思うと回答した(「非常にそう思う」45.3%、「ややそう思う」50.7%の合計)。
多くの担当者が人的資本の情報開示の必要性を認識している一方で、取り組みに関する情報を把握できていないという課題を感じており、外部の支援を欲している状況がうかがえる。
調査は6月21〜22日、同社がインターネットで実施した。
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