激辛ファンの“胃袋”をつかんだ「しあわせの激辛」、試作150回の裏話を聞いた:あの会社のこの商品(5/5 ページ)
激辛料理は好き嫌いがはっきり分かれるが、ファンは辛さだけではなくおいしさも求めている。そんな激辛ファンに辛さ、おいしさの両面で満足してもらうべく開発されたのが、ハウス食品の「しあわせの激辛」。開発の経緯などを取材した。
4000人のオフィスワーカーに配布
なぜ「しあわせの激辛」シリーズは、小売店で販売しないのか? その理由を楠本さんは次のように話す。
「ブランド育成に当たっては世界観の醸成を重視しているので、ブランドストーリーをきちんと説明できるECサイトでの販売に特化することにしました。特定のニーズに向けた商品であることもあって、群展開していく方針です。小売店から引き合いをいただくのですが、商品によって売場が変わってしまい群展開できなくなることから、当面はECサイトを中心とした展開を考えています」
販促の一環で、発売と同時に辛メーターのポータルサイトにタイアップ記事を掲載。リアルな場での露出も不可欠との考えから、激辛料理関連のイベントでのサンプリングも実施している。
サンプリングについては21年12月に、オフィスサンプリングも実施。7社でのべ4000人のオフィスワーカーに配布された。
「オフィスワーカーは多かれ少なかれストレスを抱えています。激辛のものを食べるとスカッとするところがあるので、『しあわせに激辛』を食べてスカッとリフレッシュしてもらうためにオフィスサンプリングを実施しました」
オフィスサンプリングの実施理由をこのように明かす楠本さん。各社で好評を博し、商品をもらうためにテレワーク中のところ出社してきた人もいたほどだった。
また、インパクトがあり目を引くパッケージデザインを採用した。唐辛子をモチーフにした辛さに悶絶(もんぜつ)するキャラクターは開発に携わったスタッフをモデルにつくられたが、SNS映えすることなどから激辛ファンの間では圧倒的な支持を得ているそうだ。
全7アイテムの中で一番人気なのが一番辛いチキンカレーだが、単品よりもセットのほうが売れている。セットは全7アイテム、21年販売の4アイテム、22年販売の3アイテムの3セットを用意。23年以降も新アイテムの販売は検討されているが、ニーズを見極めながら何にするかを決めていくという。
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