「おとり広告」にマグロ偽装疑惑....... 「事件」続きのスシローが抱える経営の弱点とは(1/4 ページ)
問題が続く回転寿司チェーン「スシロー」。根源にある問題を特異な社歴により形作られたであろう独自の経営姿勢から探る。
前回取り上げたかっぱ寿司の一件とともに回転寿司業界を騒がせたのが、業界のトップ「スシロー」のよろしくない話題です。寿司ネタキャンペーンを巡るおとり広告問題に始まり、生ビールキャンペーンでも同様の問題が発覚。さらには、“マグロ偽装”問題も取りざたされました。
(関連記事:「かっぱ寿司」と「はま寿司」 衝撃の社長逮捕劇を15年前の“因縁”でひもとく)
前回かっぱ寿司の一件を取り上げた際に業界の悪しき文化の話に触れましたが、スシローに関してはその文化に加え、以前からその経営と資本に関してさまざまな騒乱があり、個人的にはこれが根っこの部分で一連の問題にも関係しているとみています。スシロー問題の根源を、特異な社歴により形作られたであろう独自の経営姿勢から探ってみましょう。
始まりは6月の「おとり広告」
まず一連の「事件」のおさらいです。事の始めは6月、ウニ、イクラなど高級ネタの「目玉商品」としてうたいながら十分なネタの用意がないままキャンペーンをスタートさせ、相次ぐ品切れに多くのクレームが寄せられた、との問題が発覚しました。
おそらく公正取引委員会(公取委)へのタレコミが発端だったのでしょう。消費者庁は本件を「おとり広告」の疑義ありとして措置命令を出しました。
そのほとぼりも冷めぬ翌月に、今度は生ビール半額のキャンペーンポスターを店頭に掲出したものの実はキャンペーン開始前の予告で、生ビールは定価代金を徴収していた店が複数あった、という問題が判明。キャンペーン開始後には、前回同様に十分な用意がなく、すぐに品切れになった店舗が続出したといいます。
これに追い打ちをかけるように9月上旬に起きたのが、マグロ疑惑です。「メバチマグロを使っています」とPRされたマグロの巻物に使われていたのが、味の薄いキハダマグロだったというもの。これには同社が、「メバチを使っているのはニギリで、広告表示に対する誤解」との見解を表明しています。
見えないところで同様のトラブルの可能性
これら一連の「事件」が果たして意図的な「確信犯」であったか否かは、当時者のみが知るところではありますが、立て続けに表沙汰になったことからは、これまでも見えないところで同様の事象が起きていた可能性も考えられます。
今までは、取るに足らない店頭での小さなトラブルレベルで済まされていたものが、ウニ、イクラの一件が大々的に報道されたことで、「そういえばこんなこともあった」「これもその類じゃないか」といった告発の連鎖が生まれ、第2・第3の「事件」が表に出てきたのではないかと思うのです。
踏み込んだ言い方をすれば、3件の「事件」は当事者が意図的であったかないかにかかわらず、単なる一過性の事故ではなくスシローの経営姿勢に起因したものではないかと考えられるということです。
関連記事
- 「生クリーム好き歓喜」──セブンイレブンの“具なし”「ホイップだけサンド」に反響 商品化の狙いは? 広報に聞いた
セブン-イレブン・ジャパンが10月12日から近畿エリアなど地域限定で販売を始めた「ホイップだけサンド」シリーズがTwitterで話題となっている。商品名の通り、ホイップクリームのみを挟んだ“具なしサンドイッチ”となっている。商品化の経緯を聞いた。 - 「かっぱ寿司」と「はま寿司」 衝撃の社長逮捕劇を15年前の“因縁”でひもとく
不祥事が相次ぐ回転寿司業界。2回に分け「かっぱ寿司」「スシロー」をそれぞれ分析する。 - 「工場の製造が追い付かない」──ファミマの「クリームパン」、4週間で650万個販売 好調の理由を広報に聞いた
ファミリーマートが発売した「ファミマ・ザ・クリームパン」の売れ行きが絶好調だ。販売開始から8日で、クリームパン単体で220万個を売り上げた。1秒に3個売れている計算で、工場の生産が追い付かず、品薄になっているとして、一部の店舗では“お詫び”の掲示物をするほどだ。なぜここまで売れているのか。好調の要因を同社広報に聞いた。 - ソニーの「着るエアコン」“バカ売れ” 猛暑追い風に「想定以上で推移」
連日の猛暑が続く中、ソニーグループ(ソニーG)が4月に発売した、充電式の冷温デバイス「REON POCKET 3」(レオンポケット3)の売れ行きが好調だ。同製品は「着るエアコン」とも呼ばれており、ビジネスパーソンを中心に売り上げを伸ばしている。 - “NHK受信料を支払わなくていいテレビ”を製品化 ドンキの狙いは?
「ドン・キホーテ」が発売した、「ネット動画専用スマートTV」がネット上で大きな話題を呼んでいる。テレビと称しながら、テレビチューナーを搭載していないためだ。製品化の狙いと経緯を聞いた。 - カップヌードルの「溶けたアイスのフタ止めフィギュア」が話題 制作の狙いは? 日清食品の広報に聞く
日清食品ホールディングス(HD)が販売する「カップヌードル」の公式Twitterアカウントが公開した「溶けたアイスのフタ止めフィギュア」が話題となっている。なぜこうしたものを制作したのか。狙いを日清広報に聞いた。 - 川本真琴さん、「サブスク考えた人は地獄に堕ちて」投稿で謝罪 「不快な思いさせた」
人気アニメ『るろうに剣心』の主題歌『1/2』などのヒット曲を手掛けたことで知られるシンガーソングライターの川本真琴さんが自身の公式Twitterアカウントを更新。「サブスクを考えた人は地獄に墜ちてほしい」とする過去の投稿について謝罪した。 - 「利用者がいたずらで140度に設定」──滋賀県の老舗銭湯、“サウナテロ”の被害に 店側は激怒「悪質な営業妨害」
滋賀県の老舗銭湯が「お客さまがサウナ室の温度セットを勝手に触り、男女とも140℃以上にするという前代未聞のいたずらをされた」と投稿し、注目を集めている。同施設は「悪質な営業妨害」として滋賀県警に被害届を出すとともに、施設内の防犯カメラや常連客などと協力し、犯人特定に向けた情報収集を進めている。 - 「急速充電でバッテリー故障」投稿に反響 BEVの正しい充電方法とは? 日産広報に聞いた
電気自動車(EV)を急速充電しすぎたらバッテリーが故障したとする投稿がTwitterで注目を集めている。日産自動車広報にEVの適切な充電方法などを聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.