クルマの「燃料」はどうすればいいのか 脱炭素の未来:池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/6 ページ)
「脱炭素」が重要であることは言うまでもない。どれかひとつの方法でやることが難しい中で、どの道を選択すればいいのだろうか。日本の未来を考えると……。
再生可能エネルギーにおいても資源小国
わが国での太陽光発電への期待というのは、エネルギー自給率への貢献という部分が大きい。しかし実はすでに日本は平地面積当たりの発電量では世界トップ。再生可能エネルギーでの発電量そのものでも、世界第6位である。やってないどころか十分以上に健闘しており、そろそろ常識的な平地の設置場所が限界になりつつある。建物の上に場所があるなどという弥縫策(びほうさく)を言い出すのなら一度ちゃんと計算してからにしてほしい。その方式だとどうしても蓄電池が必要になる。
日本の1年間の電力使用量は9000億kWhから、1兆kWh。1兆とすると365日で割ると27.4億kWh。仮に1日分を貯められるバッテリーを用意するとして、1KWhあたりのバッテリーコストを1万円とするなら27.4兆円かかる。国家予算の約4分の1くらい。
で、バッテリーには寿命があるので、何年かに一度掛かることになる。まあ現実的ではない。日本は再生可能エネルギーにおいても資源小国なのだ。まずはそれを認めよう。
ここでそもそもの話をすると、人が住む地域はだいたいにおいて太陽光発電に向かない。文明の開化地が例外なく大河の流域であるように、人は水のある場所に住む。そしてそういう地域は当然一定の降水量があるのだ。
太陽光発電の理想的な気候は、低緯度地域で太陽光の角度が良く、かつ降雨量が少なく1年を通じてずっと陽が当たることが望ましい。そういう意味では都市に近い場所は大体条件が悪いのだが、一方で電気の消費地は大都市でもある。そこに問題の核が潜んでいる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ「プリウス」はボコボコに叩かれるのか 「暴走老人」のアイコンになる日
またしても、「暴走老人」による犠牲者が出てしまった。二度とこのような悲劇が起きないことを願うばかりだが、筆者の窪田氏は違うことに注目している。「プリウスバッシング」だ。どういう意味かというと……。
「田園都市線」は多くの人が嫌っているのに、なぜ“ブランド力”を手にできたのか
「通勤地獄。なぜあんなところに住むのか」――。SNS上で「東急田園都市線」が批判されている。街は整備されていて商業施設もたくさんあるのに、なぜこの沿線をディするのか。その背景に迫ったところ……。
新型クラウンはなぜ大胆に変わったのか
新型クラウンの期待が高まっている。国産車のネームバリューとしてはトップグループだろうが、セダンは“オワコン”の扱われている。そうした中で、クラウンはなぜ変わったのか。
なぜSUVは売れているのか 「しばらく人気が続く」これだけの理由
街中でSUVをよく見かけるようになった。各社からさまざまなクルマが登場しているが、なぜ人気を集めているのだろうか。EV全盛時代になっても、SUV人気は続くのだろうか。
「水素エンジン」は本当に実用化するのか トヨタの本気が周りを動かし始めた
水素エンジンが急速に注目を浴びている。燃料電池による水素利用によって、水素エンジンの可能性を引き上げたわけだが、本当に実用化するのだろうか。