渋谷ハロウィーンの「地元にカネが落ちない問題」、どう解決すべきか:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
3年ぶりに行動規制のない「渋谷ハロウィーン」が終わった。多くの若者が歩いていたので、「渋谷で営業をしている店はもうかったはず」と思われたかもしれないが、実態はどうなのか。お祭りムードに水を差すようで、心苦しいが……。
「路上型」から「会場型」へ
さて、では「路上イベントなので地域にカネが落ちない」問題をどうやって解決すべきか。観光ビジネスの世界でよく言われるのは、「路上型」から「会場型」へ移行してマネタイズをしていくというものだ。
分かりやすいのが、リオ・デジャネイロのサンバカーニバルだ。実は南米各地にあるサンバカーニバルのもともとのルーツは、庶民が勝手に街中で踊っていた祭りだ。渋谷ハロウィーンと同じく、自然発生的な路上イベントだったのだ。かつてはバカ騒ぎが行き過ぎて放火やケンカもあったというからまさしくカオスな祭りだった。
それが次第に規模が大きくなって、観光客もやって来るようになったが、当初は「地域にカネが落ちない」という問題があった。観光客は路上で缶ビール片手に見物をするだけだからだ。
そこで、リオはどうしたかというと、市の中心部に「サンボードロモ」という巨大な会場を建設して、そこで日本円で2億円以上という高額な賞金をかけたサンバパレードのコンテストを開催して、観光客はそれを見物するために入場料を払うシステムを導入したのだ。
パレードの場所と時間を決めたことで、観光客は「空き時間」を会場周辺での飲食やショッピングに費やすことができるようになった。また、観光客もサンバを体験したければ、参加料を払ってパレードに加わることもできる。
つまり、リオのサンバカーニバルは「路上型」から「会場型」へ移行することで、マネタイズに成功したというわけだ。
もちろん、「会場外」でも盛り上がっているので、現地の人たちの庶民っぽい祭りを見たければ、治安に注意しながら観光することも可能だ。筆者も20年以上前だが、サンボードロモでパレードに参加したあと、観光地のコパカパーナビーチに移動して、地元の人たちと深夜まで楽しく盛り上がった思い出がある。
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