電卓はイノベが生まれにくいのに、なぜ「3°傾けた」モノが登場したのか:週末に「へえ」な話(1/4 ページ)
電卓の歴史は古い。1963年に登場して、その後、さまざまな商品が登場している。イノベーションがなかなか生まれにくい環境なのに、カシオ計算機は「3°傾けた」商品を開発した。どのように開発したのか、担当者に聞いたところ……。
カタカタカタカタカタ――。
オフィスで電卓(正式名は電子卓上計算機)を使っている人を目にする機会が、めっきり減ってしまった。その昔、社内に“速ワザ達人”が必ずいて(だいたい経理に多い)、高速スピードで打ち込んでいく指さばきを見て、「スゴいなあ」と関心していたものである。
電卓が誕生したのは、1963年のこと。英国で「アニタ」という商品が世に出たものの、重さは16キログラムもあった。日本のメーカーがつくったのは翌64年で、たくさんの企業が参入することに。その後、長年にわたって、姿を変えていく。
小型化や軽量化はもちろんのこと、ゲームができたり、クレジットカードタイプがでてきたり、ケタがどんどん増えたり、複雑な計算ができたり。デザインだけでなく機能面でもさまざまなタイプのモノが登場してきたので、「これまでになかったモノを開発するのは、カラ雑巾を絞るような感じ」と思っていたが、まだまだあったのである。
カシオ計算機が10月に、操作面を3°傾けた電卓を発売したところ、SNSなどで話題になっているのだ。商品名は「人間工学電卓」(ジャストタイプが1万450円、デスクタイプが1万1000円)。同社の開発メンバーは、電卓を操作した際に手が外側に傾くのに、キーを打ち込んでいる方向は垂直であることに目をつけた。というわけで、操作面は「平ら」でなく、横方向に3°傾けて、キー自体は垂直に打てるように階段状に配置したのだ。
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