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なぜスシローやかっぱ寿司で不祥事が? 業界を苦しめる「安かろう、良かろう」戦略と過剰な期待:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/7 ページ)
大手回転寿司で不祥事が相次いでいる。その背景には、安くて良いものを求める消費者の心理があると筆者を指摘する。各企業が対応するのはもう限界か。
元気寿司のトップが降格
元気寿司は、15年間で売り上げは1.6倍とまずまずの成長だ。09年から出店し始めた魚べいでは、回転レーンを無くして高速レーンを2段、3段に重ねて、出来立てを提供する取り組みをしており、「回転しない寿司」の元祖といえる。現在、150店くらいにまで増えている。今やグッドアイデアということで、はま寿司とかっぱ寿司が「回転しない寿司」化を進めていて、競争が激しくなっている。コロナ禍で一時期売り上げを落としたが、既に回復しているのは見事だ。
魚べいを構築した法師人尚史氏が9月29日、社長から代表権のない取締役に降格されたのはショックだった。新社長には親会社の米卸、神明ホールディングス(神戸市)の藤尾益雄氏が就き、会長を兼任している。22年度に入ってから既存店売り上げが前年を下回った月はなく、業績面での責任を問うた人事ではないようだ。
店舗開発部長の指示で、新規出店時の床上げ工事、パーテーション工事がなされていないにもかかわらず、架空の工事費用が建設業者に複数回支払われていたことが、外部の有識者で構成する特別調査委員会の報告で明らかになった。問題の店舗開発部長は退職した。
店舗開発部長が金銭に困っていたのか、給与に不満があったのかは不明だが、せっかくコロナ禍を乗り切り、攻勢をかけようとしている時に、腰を折るような不祥事だ。
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