ファミレスは危機に陥っている!? サイゼリヤとガストで明暗が分かれたワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
ファミレスの2大巨頭「サイゼリヤ」と「すかいらーくHD」。すかいらーくの主力であるガストが、サイゼと比べて業績面で苦戦している。背景には何が?
専門業態の強み
外食では仕入価格、人件費、光熱費、輸送費の高騰で値上げが続いていて、すかいらーくグループでも今年10月から平均で約5%値上げした。ところが、サイゼリヤでは価格を維持している。それも、好調の要因だ。
今までミラノ風ドリアやパスタだけ食べて帰っていた顧客が、アロスティチーニやデザートも注文するようになったので、顧客単価が上がっているから、価格維持も実現可能だ。22年8月期の既存店顧客単価は、前期比で約5%上がっている。
サイゼリヤには、イタリアンという専門業態の強みがある。そして、ミラノ風ドリアやアロスティチーニの爆発的な商品力が後押ししている。
一方のすかいらーくも問題点に気付いている。だから、ガストにから好しのあら揚げを組み込んで、売りにしようとした。しかし、から揚げの店は競合他社が多過ぎた。居酒屋業界では、総合居酒屋から焼鳥の「鳥貴族」、串カツの「串カツ田中」、海鮮の「磯丸水産」のような専門居酒屋へのシフトが顕著だ。それと同じ流れが、ファミレスにも来ている。ファミレスもまた、専門性の高い業態が選ばれる傾向が高くなってきている。
そこで、 むさしの森珈琲、ラ・オハナ、バーミヤン、しゃぶ葉といった専門業態を強化して、V字回復を果たそうと懸命だ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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