お客は「どの弁当」の前で立ち止まっているのか ベルクの分析が面白い:「実証実験」の結果(2/4 ページ)
店内のお客の動きを分析して、売り上げアップを図っているスーパーがある。関東で展開しているベルクだ。お弁当コーナーを分析したことで、どのようなことが分かってきたのかというと……。
「スタッフの思い込み」が浮き彫りに
今回の取り組みは「実証実験」として取り組んでいるわけだが、具体的にどのような形で行われているのだろうか。
我孫子店は「お弁当エリア」に2台のカメラを設置し、そのエリアを4分割して計測することにした。「エリアを通過する総人数」と「3秒以上立ち止まった人(滞留者)」この2つをカウントすることによって、4つのエリアの滞留率(通過人数÷滞留人数)を計測。曜日や時間ごとに分析したところ、どのようなことが分かってきたのだろうか。
結論から先に言うと、「スタッフの思い込み」である。
下の図を見ていただきたい。これは我孫子店の弁当エリアを4分割したものである。多くの人は左からやって来て、右に移動する。なぜかというと、Cの先(右下の方向)にレジがあるから。アイランド型の陳列台にお弁当を並べているので、お客が周囲をグルグル回ることができるのだ。
ところで、我孫子店では4つのゾーンにどのようなお弁当を並べているのだろうか。Aは一番人気の商品である。例えば、カツ重やから揚げ弁当など。CとDについては、Dのほうに売れ筋商品を置いている。
なぜかというと、先ほどご紹介したように、多くの人は左から流れてくる。人気商品が並んでいるAの弁当を見て、次にDにといった動きがみられるので、CよりもDに、より売れている商品を配置しているのだ。ちなみに、取材当日、Dで「宮崎フェア」を展開していて、チキン南蛮弁当などを販売していた。
最後のBについては、店内でつくっていないお弁当を扱っている。「鮮度」という視点でみると、どうしても店内で調理したものよりも落ちてしまうので、通過人数が少ない傾向があるBに並べているのだ。
さて、映像を分析して、どのような結果が浮き彫りになったのだろうか。「そりゃあ、滞在者はAが最も多いでしょ。人気商品を置いているんだから」と思われたかもしれないが、滞留率をみると、Bが最も高い数字であることが分かってきたのだ。A、C、Dの滞留率はほぼ同じだったのに対して、Bは5%ほど高かったのだ。
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