このままでは手遅れになる――知られざるDX先進県・愛媛 突き動かしたのは知事の“ある危機感”:2018年から推進(3/3 ページ)
デジタルトランスフォーメーション研究所が21年に発表した調査によると、8割の自治体が「DXに未着手」と回答しており、自治体のDXは遅々として進んでいないのが現状だ。こうした中、愛媛県はコロナ禍前の2018年からDX施策を推進している、知られざるDX先進県であるのをご存じだろうか。
特設サイト「愛媛百貨店」をオープン
コロナ禍という逆境の中でも、特に大きな効果が出たのが、県産品販売促進の分野だ。「日本に、もっと“愛”を。愛媛百貨」をブランドコンセプトに、愛媛の逸品を見つけるポータルサイト「愛媛百貨選」を開設。加えて、楽天市場内に愛媛県の特産品を取り扱う特設サイト「愛媛百貨店」をオープンした。初年度での売り上げは3億円を目標としていたが、目標を上回る約4億円に達した。
加えて、ターゲット広告や愛媛ブランドの魅力を訴求する動画を4種類(柑橘類、今治タオル、愛育フィッシュ、砥部焼)配信。広告や動画を見た視聴者や前述のECサイトを訪れたユーザーのデータを分析し、県内の事業者に売れ行きやトレンドの推移を解説する事業者育成セミナーも実施している。
これらの取り組みで成果をあげ、DX施策に手ごたえを感じた愛媛県。20年度に入ると、さらなるデータの活用やデジタル化を推進するため、プロモーション戦略室と情報政策課の業務の一部を統合して、総合政策課に「デジタル戦略室」を設置した。
21年度には企画振興部に「デジタル戦略局」を設置し、デジタル総合戦略の着実な推進に向けて、デジタル戦略室を課に格上げした上で「デジタルシフト推進課」として新たなスタートを切った。
後編では、これまでの代表的なDX事例を紹介するとともに、自治体DXを推進する担当者だからこそ見えてくる課題や、今後の展望について話を聞く。
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