脱げない靴下をつくりたい――と考案した「はかないくつした」が話題 逆転の発想はどう生まれたのか:素足以上に足どり軽く(1/4 ページ)
「靴下のかかとが脱げやすいなら、いっそなくせばいいのでは?」――そんな思い付きから生まれたのが、ナイガイ(東京都港区)の「はかないくつした SUASiC(スアシック)」(1足880円)だ。
「靴下のかかとが脱げやすいなら、いっそなくせばいいのでは?」――そんな思い付きから生まれたのが、ナイガイ(東京都港区)の「はかないくつした SUASiC(スアシック)」(1足880円)だ。靴に装着することで、素足でも靴下を履いた時のような足元の快適性を提供する「はかないくつした」。“靴下なのに履かない”という逆転の発想を形にしたのが、同社の遠藤裕治さん(商品部門技術開発部開発課)だ。
「はかないくつした」は写真の通り、靴下のかかとやつま先部分をなくした、まるでインソールのような形をしている。使い方も、その日履く靴にすぽっと入れるだけ。靴の形に合わせてカットすることも可能で、靴からはみ出すこともない。1日履いた後は、洗って乾かせば何度も使うことができる。
その形状はインソールとほぼ同じだが、ポリエステルやナイロンなどでできているインソールは、足が汗で蒸れる・滑るといった欠点がある。しかし、「はかないくつした」は、靴下と同じ素材でできているため、汗を吸う、滑りを抑えて歩きやすくなるなど通常の靴下を履いた時と同じような足元の快適性を維持するという。
人気トレンドは“短い靴下”
そもそも「はかないくつした」が生まれた背景には、靴下業界のあるトレンドがあったという。「ここ10年、靴下はどんどん短くなっています。今では、スニーカーを履いた時に、外から見えないような短いものが人気です」(遠藤さん)
見た目はすっきりとした短い靴下だが、その半面“脱げやすい”という難点がある。これを解決するためにかかとの部分に滑り止めを付けるのだが、滑り止めと素足が擦れて痛くなる・かゆくなるなど肌トラブルが起きやすくなっていた。
かといって素足で靴を履くのは不快感が大きい。そのため、靴下メーカーは、見えなくて脱げない靴下の開発競争に追われていた。しかしある時、遠藤さんはふと思ったという。
「靴下のかかとが脱げやすいなら、いっそなくせばいいのでは?」――遠藤さんの試行錯誤が始まった。
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