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NTT「初任給3万アップ」が、日本の「賃上げ」に繋がらないこれだけの理由:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
NTTが新入社員の初任給をアップする。現在の初任給を見ると、大卒が21万9000円だが、来年4月入社の新入社員は25万円に。3万円もアップするので話題になっているが、このことによって日本企業の賃上げは広がるのだろうか。
「安い」「低い」とけなされてばかりの日本の賃金がようやく引き上げられていくのではないか、という淡い期待が寄せられている。グループ全体で約33万人を抱える巨大企業NTTが、初任給をドーンと大きく引き上げたからだ。
11月8日、NTTは2023年4月入社の新入社員の初任給を、現在の大卒21万9000円から25万円とおよそ3万円もアップすると発表。しかも専門性が高い人材はさらにアップで、24%増の27万2000円以上とする。
なぜこんな大振舞いをするのかというと、「能力が高い人材を獲得していく目的」(NTTプレスリリース)だという。NTTは研究開発の人材が35歳までに約3割がGAFAに引き抜かれることで、“GAFAの予備校”などと揶揄(やゆ)されていた。そのような人材流出を防ぐために転勤や単身赴任をやめたり、年功序列をやめて20代から管理職に就けるようにしたりと人事改革を進めている。今回の賃上げもその一貫のようだ。
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