お手本はワークマンやカインズ。DXを成功させている企業の共通点とは:「4倍速」で改善(6/6 ページ)
11月10日、DXの最新事例や成功の秘けつを語るイベントが開催された。成功例として名前が出たのは「ワークマン」「カインズ」「トライアルホールディングス」などリテールDXが中心。このような企業で実施されている「王道のDX」とは――。
会場で見つけた最新センサー
最後に、会場で見つけた最新のセンサーをピックアップして紹介する。
アシックスでは、スポーツデータ統合システムTUNEGRID(チューングリッド)を開発している。シューズに内蔵できる小型BLEセンサー「TUNEGRID-Cube」(チューングリッドキューブ)を使えば、スマートフォンを使わずに、運動量を測定してクラウドにデータをためられる。それらは、工場内のスタッフの業務改善などに役立てられるそうだ。
画像やコンテンツ認識に強みを持つゼータ・ブリッジ社では、目視で行う異物混入やパーツ・具材の過不足を自動判定する画像認識エンジン「フォトナビ」を提供。食品や自動車部品メーカーでコスト削減や見逃し防止に役立てられている。記録した画像をクレーム対応時に活用している事例もあった。
リコーは、次世代の太陽電池を搭載し、屋内の温度・湿度・照度・気圧といった環境情報を電池交換レス・配線レスで取得できる環境センシングデバイスを多数展示していた。室内光を新電力として有効活用でき、コストや手間を省くほかSDGsにも貢献する。
DX推進においては、多くの失敗があって然るべき。だからこそ失敗しても人を責めない。失敗の原因は施策にあると考え、失敗しやすい文化を醸成することが大事ではないかと上田氏は話していた。諸外国と比較して日本社会は失敗を恐れる傾向が強いともいわれるが、失敗をいとわずに「まずやってみよう」の精神でDXに取り組むべきなのだろう。
(写真撮影:小林香織)
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