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お手本はワークマンやカインズ。DXを成功させている企業の共通点とは:「4倍速」で改善(5/6 ページ)
11月10日、DXの最新事例や成功の秘けつを語るイベントが開催された。成功例として名前が出たのは「ワークマン」「カインズ」「トライアルホールディングス」などリテールDXが中心。このような企業で実施されている「王道のDX」とは――。
DXを成功させている企業の共通点は?
及川氏いわく、従来型の企業がDXに取り組むとき、王道の2つのやり方があるという。
1つめは、「人材の育成」である。社員を教育してDXに必要なスキルセットを備え、マインドセットを変えることが重要だ。前述したワークマンでは、丸1日かけたエクセル研修を月に1回、6回実施、課題を与えて自ら考える力も養えるようにした。また、拒否反応が出ないようカルチャーチェンジを少しずつ行う工夫も取り入れている。
2つめは、「トップ及び、重要な人材を外部から登用する」こと。この戦略を実施して成果をあげているのが、ワークマンやカインズだ。
カインズでは、16年に池照直樹氏を迎えてデジタル戦略本部を立ち上げた。そこから、カード会員より年間購入額が高いデジタル会員の獲得にフォーカス、オウンドメディアを使った顧客の嗜好(しこう)分析、自社アプリを便利にする改善、業務改善アプリケーションの導入などを矢継ぎ早に実施。データを活用して施策を進めたところ、ここ数年で約400億円も売り上げを伸ばしている。
「いずれもDX推進に効果的だが、特に外部人材の起用はキモになるだろう」と及川氏は付け加えた。同じ環境にいると人はなかなか変われない。だからこそ外部から人材を呼び込むことが組織の空気を変え、人を変え、やがて大きな変革につながるようだ。
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