お手本はワークマンやカインズ。DXを成功させている企業の共通点とは:「4倍速」で改善(4/6 ページ)
11月10日、DXの最新事例や成功の秘けつを語るイベントが開催された。成功例として名前が出たのは「ワークマン」「カインズ」「トライアルホールディングス」などリテールDXが中心。このような企業で実施されている「王道のDX」とは――。
トライアル、ワークマン。優秀企業の事例
続くセミナーで登場したのは、ソフトウェアによるプロダクト開発支援、および開発に関する研修を提供するTably(テーブリー)社の及川卓也社長だ。書籍『プロダクトマネジメントのすべて 事業戦略・IT開発・UXデザイン・マーケティングからチーム・組織運営まで』(翔泳社)などを執筆し、アドビ社のエグゼクティブフェロー(顧問)も務める人物だ。
及川氏は、多くの日本企業は「DX(デジタル・トランスフォーメーション)のはるか前段階にいる」と指摘する。
「ペーパーワークをデジタル化するといった既存業務の効率化は、デジタライゼーションであってDXとはいえません。既存事業を大きく変革させる、あるいは新規事業でデジタル技術を武器として使いこなせる状態になってこそDXになります」(及川氏)
では、どのような事例がDXに当たるのか。及川氏は、リテールDXで先進的なトライアルホールディングス、ワークマン、カインズをあげた。
1981年創業のトライアルホールディングスは、ソフトウェア開発の事業会社としてスタートした。92年に小売業に進出し、22年現在は自社のIT技術を駆使したスマートストアやディスカウントストアを274店舗運営する。酒類販売時の年齢確認を不要とする日本初の「24時間顔認証決済」などが話題を集め、メディアに多く露出している。
新業態店「WORKMAN Plus」が大ヒット、10年連続で過去最高益の達成と好調な話題が絶えないワークマンは、「エクセル経営」が功を奏した。その変革を指揮したのが、12年に入社した現専務取締役の土屋哲雄氏だ。
エクセル経営に舵(かじ)を切るにあたり、社内でエクセル研修を実施。全社員の35%が分析ツールをつくれるようになり、全社員が分析されたデータを活用できる状態を目指した。すると、デジタライゼーションさえできていなかった同社で、社員発の分析ツールが多数生まれ、社員が自ら業務改善の提案をするように。5〜6年で文化が様変わりしたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「サクマ式ドロップス」製造元が廃業に追い込まれた、これだけの理由
「サクマ式ドロップス」を製造する佐久間製菓が2023年1月に廃業する。廃業の理由として、同社は「コロナ」と「原材料高騰」の2つを挙げているが、本当にそうなのか。筆者は違った見方をしていて……。
お客は「どの弁当」の前で立ち止まっているのか ベルクの分析が面白い
店内のお客の動きを分析して、売り上げアップを図っているスーパーがある。関東で展開しているベルクだ。お弁当コーナーを分析したことで、どのようなことが分かってきたのかというと……。
20歳以上ですか? トライアルの店内で、この言葉が聞かれなくなる理由
スーパーのトライアルが、ちょっと気になることをやっている。「24時間顔認証決済」と「自動値引き」である。今年の4月から実証実験で始めているわけだが、どのような結果がでているのか。担当者を取材したところ……。
「マルチ商法の優等生」アムウェイは、なぜこのタイミングで“お灸”を据えられたのか
日本アムウェイ合同会社に対して、消費者庁が勧誘などの一部業務を6カ月間停止する命令を出した。「昔から同じようなことをやっているのに、なぜ今なの?」と思われたかもしれないが、どういった背景があるのか。さまざまな憶測が飛び交っていて……。
ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
どうやら「高級食パン」のブームが終わるようだ。最近、さまざまなメディアがこのように報じているわけだが、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか。その背景には、2つの理由があって……。



