お手本はワークマンやカインズ。DXを成功させている企業の共通点とは:「4倍速」で改善(3/6 ページ)
11月10日、DXの最新事例や成功の秘けつを語るイベントが開催された。成功例として名前が出たのは「ワークマン」「カインズ」「トライアルホールディングス」などリテールDXが中心。このような企業で実施されている「王道のDX」とは――。
4倍速の改善は、どう実現するべき?
続いて、上田氏は「どうやって4倍速の業務改善を実現するか」の方法に言及。前提として、データを活用するためには、リアルな現場やプロダクトをインターネットに接続、いわゆるIoT化してデータを吸い上げる必要がある。そのうえで、システムを運用しながら高速でPDCAを回すことが求められる。
上田氏が推奨する「4倍速を実現する方法」は、以下のとおりだ。
(1)現場をデジタルにつなぐのに時間をかけない
例えば現場の人流、空調や温度、設備の稼働状況などをチェックする場合、センサーやカメラなどの設置が求められるが、最短でできる方法を選ぶのがいい。時間を買うような感覚を持とう。
(2)クラウド構築も時間をかけない
自前でつくるのではなく、できあがっている状態のサービスを活用する。上田氏いわく、既存のIoT化プロジェクトはAWSを使ってシステムを構築するのが主流だが、時間がかかるし簡単にはいかない。
(3)システム運用をアウトソースする
システム運用は、セキュリティアップデート、データ運用・スケールなど、やらなければいけない作業が多く発生する。自社でコストと時間をかけるより、専門業者の力を借りてしまったほうがコストもかからず、かつ速い。
(4)最新のセンサーやAIをどんどん取り込む
おもしろそうなセンサーやAIを見つけたら、素早く取り込んで短いサイクルでテストを行い、効果検証をするといい。
「4倍速という目標は簡単ではないが、不可能ではない。いま世の中にあるサービスをうまく使えば達成できる」と上田氏は主張した。
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