メタバースは「次のインターネット」にあらず 吉本と米エンタメ業界が攻める「マルチバース」に商機あり:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
社名を「フェイスブック」から「メタ」に変更までしたマーク・ザッカーバーグCEOは、「メタバースは、次のインターネットになると考えている」と自信を見せる。しかし、実は「次のインターネット」になるのは現時点では難しいと懐疑的に見る向きもある。「次のインターネット」候補として名が挙がる「マルチバース」とは?
インターネットはどうやって生まれた?
インターネットは、1969年にアメリカの4つの大学のコンピューターを相互接続して作られた「ARPANET(米高等研究計画局ネットワーク)」から始まった。ただそれは限られたネットワークだったため、73年からさまざまなコンピューターをインターネットでつなぐ標準プロトコル(通信方式)の「TCP/IP」が開発され、その通信方式が広く使われるようになった。「TCP/IP」という同じ「言語」を使って、各地で出現したコンピューターネットワークを接続することで、世界的なワールドワイドウェブ(www)が誕生した。現在、世界中でインターネットが広がったのも、今も使われている「TCP/IP」によって問題なく相互通信ができるようになったからに他ならない。
これをメタバースに当てはめてみるとどうか。
現在、メタバースの主流なイメージとしては、メタ社が提供しているヘッドセット「Meta Quest(メタ・クエスト)」を装着して利用できるような世界である。要は、インターネット上の仮想空間に自分が入っていくやり方だ。
さらにオンラインで、パソコンの前に座ってゲーム感覚で利用できるメタバースもある。「Decentraland」や「Cluster」などがそれで、それぞれが独自開発でいろいろな体験やビジネスを提供している。
要するに、現在はメタ社の提供するメタバースのようないくつか単体のメタバース「空間」が点在している状態だ。ただ気になるのは、インターネットが現在のように広く使われるようになったのに欠くことができなかった「TCP/IP」のような標準プロトコルがないことである。これではあちこちに独立した空間があるだけで、「次のインターネット」になるのは難しい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
健全化に向かうツイッターを”混乱させている”のは誰か?
ツイッターが大混乱に陥っているように見えるが、本当にそうだろうか? ツイッターの騒動の実態と、これからツイッターがどう展開していくのかを見ていこう。
「死者との対話」も可能に? ビジネス規模も拡大する「チャットボット」の現在
死者と再び対話ができるチャットボットがあるという。最近のチャットボットはどこまで進化しているのか、私たちの生活に与える影響とは。
「心理的安全性」が高い大企業で、若手の早期離職が加速する皮肉 足りないのは何?
昨今の日本の若手のキャリア形成にはある大きな謎がある。若手の労働時間や年次有給休暇の取得率などが明らかに好転している一方で、若手の離職率が下がっていないことだ。「心理的安全性が高く働きやすい」大企業を退職する若手が増えるのはなぜか?
定年退職後に嘱託社員として再雇用 賃金50%カットの妥当性は?
少子高齢化に伴い、高齢者活躍の土壌を整える必要性に迫られる日本。定年は60歳が一般的だが、65歳までの雇用維持、70歳までの就業機会の確保が努力義務となっている。定年退職後に嘱託社員として復帰した社員への賃金設定はいくらが妥当なのか? 社会保険労務士が解説。
アヒルの卵からフォアグラ! 世界の代替「ラボ」から学べることは?
世界では、意外なものも含め代替食品の開発が進んでいる。日本に目を向けると、先日デジタル庁が「フロッピーディスク撲滅」を発表したばかり。長期的な視点で、日本がこれから本当に強化すべき道とは……。
