ロイホのパンケーキが「テレビ番組の酷評」で、再ブレイクしそうなワケ:スピン経済の歩き方(4/7 ページ)
ロイヤルホストのパンケーキがテレビ番組で酷評され、ネット上でちょっとした騒ぎになっている。ファンの間からは怒りの声が多く寄せられているが、筆者の窪田氏はそれほどカッカする話ではなという。どういう意味かというと……。
定番メニューのワナ
……という話をすると、「いやいや、われわれが好きなのは今のロイホのパンケーキであって、改良なんてしてもらいたくないのだ」という感じで、「現状維持」を望むファンの声が聞こえてきそうだが、それが本当にロイホのためになるのかというとかなりビミョーな話だ。
実はずいぶん昔から、ロイホのパンケーキはファンが多数いて評価も高いが、それほど売れないという、「定番メニューのワナ」に陥っていたからだ。
分かりやすいのは、2010年にあったパンケーキの食べ放題企画「お好きなだけパンケーキ」だ。なぜこのようなロイホのイメージとは直結しないような企画がつくられたのか。当時の立案者によれば、「ブログ・社内での評判と、実際の注文数の少なさのギャップを強く感じた」(日経MJ 2010年5月12日)ということが大きい。
当時、マーケティング担当がブログなどでロイホの評判をチェックすると、パンケーキに対する書き込みがかなり多かったという。ゆえに、社内でもパンケーキは人気商品というイメージが強かった。ただ、そんなネット上の評価と、現実の反応には大きなズレが生じていた。パンケーキの注文は、1日1店当たり7人程度だったというのだ。
味もおいしいし安い。ファンからも長く愛されている。ブログやSNSでも好意的な投稿が多い。しかし、爆発的に売れているわけではない――。この当時で32年も続いていたロイホのパンケーキは「定番メニュー」にありがちな「緩やかな衰退期」に入っていたのだ。
こういう状況を変えるため、マーケティング担当者は知恵を絞って、「お好きなだけパンケーキ」を立案して話題化に成功、これによって注文は1日20人に増えたというのである。しかし、これは12年前の話だ。現在はもっと苦しい戦いを強いられている可能性が高い。
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