ロイホのパンケーキが「テレビ番組の酷評」で、再ブレイクしそうなワケ:スピン経済の歩き方(5/7 ページ)
ロイヤルホストのパンケーキがテレビ番組で酷評され、ネット上でちょっとした騒ぎになっている。ファンの間からは怒りの声が多く寄せられているが、筆者の窪田氏はそれほどカッカする話ではなという。どういう意味かというと……。
「ロイヤルホスト精神」を象徴
この「お好きなだけパンケーキ」をスタートさせたのと同じ時期、東京・原宿にハワイのパンケーキ「Eggs'n Things」が初上陸する。12年にはNYの「朝食の女王」と呼ばれる「Sarabeth’s」も上陸するなど、外資系パンケーキが続々と進出、国内でもふわふわ生地のパンケーキや、スフレパンケーキなど多種多様な専門店が登場して、パンケーキブームが起きていくのだ。
そんな中で、ロイホのパンケーキは大きなリニューアルをしていない。1978年から変わらない技法、味で勝負をしており、価格も「450円」(一部店舗は500円、いずれも税別)とかなり良心的だ。
よく言えば「時代に迎合していない」のだが、悪く言えば審査員のシェフたちが述べたように、「古い形にこだわりすぎ」なのだ。これだけ多種多様な個性的なスイーツが世にあふれる中で、10年前にマーケティング担当者が吐露した「ブログ・社内での評判と、実際の注文数の少なさのギャップ」はさらに大きくなっていてもおかしくない。
さて、そこで皆さんが気になるのは、なぜロイヤルホストは44年もパンケーキを変えていないのかということだろう。それは一言で言えば、このメニューが「ロイヤルホスト精神」を象徴しているからだ。
ロイヤルホストの創業者である故江頭匡一氏は、城山三郎の小説『外食王の飢え』のモデルにもなった人物で、日本の外食産業をリードしてきた人物だ。
福岡の米軍基地でコックとして働きながら米国式の外食経営を学んだ江頭氏は、「これからは航空機の時代になる」と予見して、日本航空と機内食、空港内売店の独占契約を締結。その後、1953年には中洲に高級レストランをオープン、来日したマリリン・モンローが3日間通ったと話題になった。ちなみに、現在のロイヤルホストのオニオングラタンスープは、モンローが飲んだものを再現したものだ。
江頭氏は南極探検隊の食事スタイルから、冷凍加工した食材をレストランに配送する「セントラルキッチン」を考案して、71年から「ロイヤルホスト」をチェーン展開して、78年には日本の外食業界初の上場を果たした。パンケーキはそのタイミングでモーニングメニューとして誕生した。
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