クライアントが広告業界の脅威に!? ファミマも参入した「リテールメディア」の破壊力:新たなビジネスモデル(1/4 ページ)
小売業がメディアを生み出し広告収益へとつなげていく動きが強まっている。米国のアマゾンやウォルマートが先行している。日本でもファミマが参入するなど、勢いが強まっている。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
WEB3.0専門のコンサル会社 マーヴェリック株式会社 COO(Chief Operating Officer)
城北宣広株式会社(広告業)社外取締役
著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティングにて小売企業を担当するセクターのディレクターとして大手小売企業の制度改革、マーケティングシステム構築などDX領域のコンサルティングを多数経験。世界三大戦略コンサルファームとも言われている、ベイン・アンド・カンパニーにおいて2020年より小売業・消費財メーカー担当メンバーとして大手小売企業の戦略構築支援及びコロナ後の市場総括を手掛ける。2021年より上場会社インサイト(広告業)のCMO(Chief Marketing Officer)執行役員に就任。
2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。
2019年より1年半に渡って日経流通新聞にコーナーを持ち連載を担当するなど小売業には約20年間携わってきたことで高い専門性を有する。
日経MJフォーラム、KPMGフォーラムなど講演実績は累計100回以上。
「広告会社の最大の脅威は競合の広告会社ではなく、クライアントである」
そのような論調が聞こえるようになってからもう随分と時間が経過しましたが、とうとう具体的な形になりつつあります。そのひとつの取り組みがリテールメディアです。
リテールメディアとは言葉の通り、小売業がメディアを生み出し広告収益へとつなげていくモデルです。
出店が飽和する日本市場において新たな収益を生み出すこの動きが活況を呈しています。
次の図に示す通り、リテールDXの全体像の中でも新規収益を生み出す重要施策として優先的に取り組む企業が増加傾向にあります。
毎日膨大な顧客とのコンタクトを保有する小売業にとってはその強みを発揮しやすいモデルであることが拡大要因のひとつです。それに加えて、米国のグーグルやアップルのCookie規制、GDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)、CCPA(米カリフォルニア州における個人情報保護法で今後米国各地へ拡大する影響がある)によってオンラインのアクセスデータを基にした広告の精度に懸念が示されています。そうした中、リテールメディアのようにCookieに依存しないオフラインデータの価値が飛躍的に向上する時代が到来すると予想されます。
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