保育園での虐待、替え玉受検……「密室」で起きる悪事をどう防ぐべきか?:マネジメントの手立ては(2/4 ページ)
保育園で起きた園児への虐待、大学のゼミ生募集の性差別、就活での替え玉受検―――。最近ニュースになった事件には、明るみに出るまで外界と隔離された“密室”で起きていたという共通点が見られる。職場でも、テレワークや副業など社員の様子が見えない密室機会が増える傾向にある中、密室とどう向き合えば良いのか。
青春を謳歌していた学生生活から一転、就職活動に勤しむ学生は大変です。就職先を早く決めなければというプレッシャーが「替え玉を使ってでも、就活を有利に進めたい」という邪心を芽生えさせてしまうのかもしれません。しかし、それが妄想に留まらず実際に行ってしまう事件が起きるのは、「誰にも見られやしないから、バレたりしない」という密室の悪魔によるささやきが、いかに強力であるかを物語っています。
ただ、就活で行われる適性診断テストは、採用する会社側だけでなく応募する学生側にとっても大切な判断材料です。もし適性がない会社に入社することになれば、自分が後悔することになります。また、本当は事務職に向いている人が、適性診断で営業職に向いていると判断されたりすると、まったく適性のない職務に配属される可能性だってあります。本人が自分で適性診断を受けないと、後々大変な思いをするのは自分自身であることなど少し考えれば分かるはずですが、密室の魔力はそんな判断力さえ奪ってしまうということなのかもしれません。
「密室」は払拭できない
これだけ密室での悪行がニュースになると、会社としては密室などなくしてしまいたくなるというものです。コロナ禍を機に広がったテレワークのことを渋る会社があるのも、これまでの業務体制を変えるのが大変だという理由もありますが、自宅など物理的に隔離された勤務場所は目が届かない密室になってしまうことを嫌っているという面があります。
密室を嫌う会社からすると、テレワーク社員から出勤と退勤の連絡だけ受けたところで「本当に真面目に仕事していたのかな。サボってないかな」という疑念を払拭できる材料にはなりません。そして、一度疑心暗鬼になってしまうと、全員出社させたいという気持ちに駆られます。
ただ、全員出社させたところで、目の行き届かない場所は生じてしまうものです。もし、目の前に社員が座っていたとしても、横にずっと張りついて見ていない限り、本当に仕事しているかどうかは分かりません。すごい速さでキーボードを叩いていて頑張っているな、と感心していたら、タイプミスだらけで叩く音の半分はBackSpaceとDeleteキーだった、などということもあります。さらに、営業職など外勤の仕事や出張などの際はどうしようもありません。
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