鉄道各社は苦況なのに、なぜJR東海は「大幅な業績回復」を成し遂げたのか?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(6/6 ページ)
JR東日本に限らず、鉄道各社の多くは厳しい状況にあります。しかし、そんな中で業績回復が一際早いのがJR東海として知られる東海旅客鉄道です。同じ鉄道事業者なのになぜ、違いが現れたのか? そのギモンを決算書から読み解き、JR東日本と比較しながら解説します。
そして長期的には10〜15年かけて800億円ほどの費用を下げていく計画だとしています。内訳は、現在も進む投資抑制の影響で200億円ほどが減価償却費の減少、600億円は人件費や物件費の削減です。
しかし、人件費は減らしていくとしているものの、労働力不足への対応も重要視しているといいます。日本では人口減が進んでいますが、それよりも早い速度で労働人口減少が進んでいく見通しです。機械化や自動化といったテクノロジーへの投資を進めていくのでしょう。人を削減し、より自動化された産業にさらに変化していきそうですね。
ちなみにJR東日本でもコスト削減を進め、オペレーションコストを1000億円削減する方向で動いていました。コロナ以前の水準まで需要が回復するか不透明な鉄道業界は、大きなコスト削減へと動く業界の1つといえるでしょう。
まとめ
今回は、JR東海が業績を大きく回復させ黒字転換させた中身を見てきました。とはいえコロナ以前と比べると主力の新幹線の需要は7割程度で、全国旅行支援なども始まった直近の10月でも8割弱という水準です。
特に回復が遅いのは平日の需要となっていますので、オンライン会議が普及する中でビジネス利用での回復はコロナ以前の水準には戻らない可能性が高そうです。それに加えてもはや不可避な労働人口減少に備え、長期的なコスト削減を進めていくとしています。そうしたコスト削減も通じて、どの程度収益性を改善させていけるのかに注目です。
筆者プロフィール:妄想する決算
決算は現場にある1次情報とメディアで出てくる2次情報の中間1.5次情報です。周りと違った現場により近い情報が得られる経済ニュースでもあります。上場企業に詳しくなりながら、決算書も読めるようになっていく連載です。
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