鉄道各社は苦況なのに、なぜJR東海は「大幅な業績回復」を成し遂げたのか?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(5/6 ページ)
JR東日本に限らず、鉄道各社の多くは厳しい状況にあります。しかし、そんな中で業績回復が一際早いのがJR東海として知られる東海旅客鉄道です。同じ鉄道事業者なのになぜ、違いが現れたのか? そのギモンを決算書から読み解き、JR東日本と比較しながら解説します。
今後の利用状況の見通しに関しては、JR東海は第3、第4四半期でコロナ以前の80%の見通しを維持しています。JR東日本やANAなどの航空会社も国内線は90%超の見通しを立てており、それに比べると低い水準です。
やはり東海道新幹線はビジネス需要が多いため、他社と比較しても需要は戻りにくいという想定なのでしょう。そもそもの収益性が高いため、業績の回復は早いもののビジネス利用が多く需要の回復自体は遅いということですね。
ちなみに利益面を見てみると、動力費が単価の上昇によって89億円ほど増加しており、エネルギーコストの上昇による悪影響が出ています。
そうした状況下で、通期の見通しとしても前回予想では営業利益が2770億円だったところから120億円ほどの下方修正をしています。要因は動力費が140億円ほど増加することです。想定以上のスピードでエネルギーコストが増加していることが分かります。
当初見たように、事業を行う上で多額の初期投資を必要としており、さらにリニア建設も進めるJR東海では安定してキャッシュを稼ぐ必要があります。
主力の新幹線は、長期的に考えてもビジネス需要の回復が不透明、短期的には動力費も増加もあり収益性が悪化しているということで、短期的にも長期的にもコスト削減が必要です。
そうし中でコスト削減を進めており、設備投資含め21年度で1280億円、22年度では2Q時点でグループ全体で280億円です。22年度の計画としては計660億円ほど進める予定となっています。
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