鉄道各社は苦況なのに、なぜJR東海は「大幅な業績回復」を成し遂げたのか?:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(4/6 ページ)
JR東日本に限らず、鉄道各社の多くは厳しい状況にあります。しかし、そんな中で業績回復が一際早いのがJR東海として知られる東海旅客鉄道です。同じ鉄道事業者なのになぜ、違いが現れたのか? そのギモンを決算書から読み解き、JR東日本と比較しながら解説します。
平日と土日で状況に違い
続いてコロナ以前からの変化を見ていきます。コロナ以前の20年3月期の第2四半期時点の業績は売上高9556億円、営業利益は4068億円。これに比べると現在は売り上げは33%減、営業利益は57.7%減といった状況で十分な回復には至っていません。
では主力の東海道新幹線の利用状況は18年度と比べてどの程度回復してきたのかといえば、23年9月までの時点で71%、10月は77%まで回復しています。さらに回復が進んでおり、今後の決算ではさらなる業績回復が期待できます。ちなみにJR東日本の利用状況は23年9月第2四半期時点では18年度比で在来線が76.3%、新幹線が64%という状況のため、回復率に大きな差はありません。
また、JR東海の利用状況の回復の1つの特徴として、土日の回復が早いことが挙げられます。平日ではコロナ前比で60%台にとどまっていますが、土日では70%台後半となっており、約10%ほど回復が早いです。
10月に関しては平日が73%に対し、土日は81%と8割超まで戻ってきています。全国旅行支援などもあり、休日の旅行やレジャーとしての移動需要が回復していると考えられます。
一方で平日はビジネスでの出張利用が非常に多いです。オンライン会議はコロナ以前と比べ非常に普及しましたし、単なる情報交換の場ではオンラインで十分という認識が広まっています。≪ビジネス需要は回復が遅い状況にあります。
そして出張需要は、長期的に見てもコロナ以前の水準まで回復する可能性は低いでしょう。平日・土日ともにコロナ以前の水準に戻ることは難しいかもしれません。
また、在来線に関しては22年4〜9月の月次で、名古屋近郊が81%、特急が65%といった状況です。JR東日本では関東圏の在来線は78%です。テレワークの導入率の差が多少出ているかもしれませんが、関東、東海ともに近郊の移動は8割程度まで回復していたと考えられます。
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