スシロー、おとり広告で「信用失墜」し客離れ──それだけではない業績悪化のワケ:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(1/5 ページ)
最近のスシローといえば、おとり広告の問題で景品表示法に係る措置命令を受けてしまった件は記憶に新しいことでしょう。こういった問題が起きるとどのような影響があるのかを「減損損失」という視点から見ていきます。
【編集履歴:※2022年10月29日午後9時30分 初出時、記事タイトルに誤りがありました。お詫びして訂正いたします】
普段は決算書から分かる経済の流れについて解説している本連載ですが、10月の記事では決算書を読んだり、さらに二ュースを見たりする際に知っておきたい会計用語を、実際の企業の決算を取り上げつつ紹介しています。
正確なルールや知識というよりは、決算書やニュースを見る際により詳しく意味が分かることを目標にします。
前回はレオパレスを例に、会社の問題が起きると「引当金」という形で、実際の業績悪化以上に大きく業績悪化となるケースがあることを説明しました。
前回の記事
引当金と同じように、実際の業績悪化以上に大きな業績悪化となる要因の一つに「減損損失」があり、世間を騒がせるような数百億円・数千億円といった大きな赤字に関わっていることも多いです。
今回はそんな「減損損失」を、スシローの運営元あきんどスシローの持株会社FOOD & LIFE COMPANIESの実際の決算を例に見ていきましょう。
おとり広告など問題相次ぐスシロー
最近のスシローといえば、おとり広告の問題で景品表示法に係る措置命令を受けてしまった件は記憶に新しいことでしょう。こういった問題が起きるとどのような影響があるのかを「減損損失」という視点から見ていきます。
まずはスシローの業績の推移についてです。
売上高の推移を見ていくと、右肩上がりで成長が続いています。店舗数を増やしたりM&Aをしたりとさまざまな要因がありますが、コロナ禍でも堅調に売上高を伸ばし続けています。
続いて本業での利益を表す営業利益の推移を見ていくと、20年9月期には新型コロナの影響を受けて減益となったものの、それ以外の期は右肩上がり。業績は伸び続けていてます。
最後に、会社の活動全てを含めた利益である純利益の推移を見てみると、20年9月は営業利益同様で減益となったものの、それ以外の期では右肩上がりでの成長が続いています。コロナ禍で多くの飲食店が赤字に陥ったことを考えると、非常に好調です。
では続いておとり広告の問題が発覚してからの直近の業績を見ていきましょう。
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