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スシロー、おとり広告で「信用失墜」し客離れ──それだけではない業績悪化のワケ:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(2/5 ページ)
最近のスシローといえば、おとり広告の問題で景品表示法に係る措置命令を受けてしまった件は記憶に新しいことでしょう。こういった問題が起きるとどのような影響があるのかを「減損損失」という視点から見ていきます。
売上高は増えるも大幅減益
今回見ていくのは22年9月期の3Q(21年10月〜22年6月)の決算です。
売上高は18.6%増となった一方で、営業利益は32.2%減、純利益は50.9%減と大幅減益となっています。
既存店売り上げに関しても6月以降は100%を割った状況だとしており、これまでは成長が続いていたスシローですが、直近では業績が悪化していることが分かります。
コロナ禍に加え、信頼を損ない客数が減少
ではどうして業績悪化してしまったのかというと、主力の国内スシロー事業ではコロナの影響に加え、景品表示法に措置命令を受けたことにより信頼を失い、客数の減少を招き売り上げが大幅に想定を下回ったと同社は説明しています。
さらにそれに伴い、売り上げで150億円、営業利益では75億円、純利益では57億円の下方修正を行っており、苦しい状況にいることが伺えます。
では、この業績悪化の原因は来店客数の減少や、客単価の減少だけかといえばそうではありません。その他にも業績悪化に影響を与えている要因の1つが今回のトピックである「減損損失」です。
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