レオパレス21「赤字686億から復活」の大きな誤解 施工不備問題が残した“傷跡”と未だ苦しい実態:妄想する決算「決算書で分かる日本経済」(1/6 ページ)
レオパレス21は施工不備発覚が社長の引責辞任にまで発展するなど、大きな問題となりました。この影響で一時は巨額の赤字を抱えましたが、22年3月期には黒字に転じたため、現在は回復途上にある──この見方は、決算書に表れる「ある項目」を知ると、ガラリと変わります。
普段は決算書から分かる経済の流れについて解説している本連載ですが、前回から4回は決算書を読んだり、さらに二ュースを見たりする際に知っておきたい会計用語を、実際の企業の決算を取り上げつつ紹介しています。
正確なルールや知識というよりは、決算書やニュースを見る際により詳しく意味が分かることを目標にします。
前回の記事
施工不備が大きな問題になったレオパレス21
さて、今回具体的な事例として取り上げる企業はレオパレス21です。賃貸不動産の事業をメインとして行っている企業で、2018年4月に施工不備問題が発覚し、社長の引責辞任にまで発展するなど大きな問題となりました。
こういった大きな問題の影響を決算書から読み取るために、知っておく必要があるのが「引当金」です。今回はこの引当金について、レオパレス21の実際の決算を基に理解していきましょう。
施工不良問題で大赤字に陥ったが、業績回復──本当か?
まずは引当金についての話の前に、ここ数年間のレオパレス21の業績の推移を見ていきます。
まず、売上高の推移を見ていくと、18年3月期の5308億円をピークに売り上げは減少が続いていて、施工不良問題が本格化した20年3月期は4335億円、22年3月期には3983億円と大きく売り上げを減らしています。
続いて純利益の推移を見てみると、施工不良問題が発覚する以前の18年3月期は148億円ほどあった純利益が、19年3月期に686億円の赤字、それ以降も20年3月期は802億円の赤字へと拡大。21年3月期の赤字は236億円と赤字幅は縮小しましたが、3期にわたる大幅な赤字です。
そして直近の22年3月期には118.5億円の黒字へと業績回復しています。
この業績の推移を見ると施工不良問題が発覚したことで19年3月期に大きく状況は悪化し、その後は規模を縮小させながら収益性を回復させ、22年3月期には黒字化と回復してきているように見えます。
しかし、本当にそうなのでしょうか?
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