「CxOの“x”の中身なんてどれでもいい」 COO→CFO→CPOを経たfreee東後氏がそう語る真意:対談企画「CFOの意思」(3/3 ページ)
今回の対談相手は、freeeでCPOを務める東後澄人氏。COOとして同社に参画し、CFOを経て現在はCPOという異色の経歴は、なぜできあがったのか。経営者としての役割変更とともに、どんな変化があったのか? 東後氏が考える「CxOの条件」とは?
専門知識があり「自分より優秀」なメンバーと仕事をするコツ
嶺井: 専門性を持ってCFOに取り組んでいる人もいる反面、東後さんのように、優秀な人材の力を借りながら成果を出していく人もいる。自分より優秀な人材を採用する、そしてパフォーマンスを出してもらうということでしたが、その際、マネジメントで何に気をつけていますか。
東後: 共有してもらいたいこだわりのある部分を明確にすることだと考えています。期待していること、こだわりのある部分に関しては一緒に議論しながら進めたいということを伝えて意識をすり合わせる。逆に、詳しくないところについてはわからないので、教えてください、というスタンスでいますね。
CFO時代、財務や経理だけでなく、労務や人事、IT部門やセキュリティ、経営企画まで幅広く見ていました。多分、これらすべてにおいて専門性のある人材って存在しないんじゃないでしょうか。
そう考えると、多分、世の中の多くのCFOの方々も、全てにおいて専門性が高いというより、自分より詳しい人がいれば、その人に頼っていると思うんです。それでいいんじゃないんでしょうかね。
もちろん、自分より必ず優秀な人材を採らなければいけないということもないと思います。
というのも、人が持つ解像度って、その人のできることに限られてしまうと思うんですよ。だから、自分ができることに基づいて、他の人を評価してしまう。逆に言えば、できないことに関しては評価できない、もしくはしづらいんです。
自分の評価の仕方がそうなってしまっていないかを客観的に考えつつ、自分のできないところを補ってくれる人材をきちんと評価する。そしてそれは採用時だけでなく、そのあとずっと続ける必要がある。自分にない強みを持った人を生かす組織づくりをしていくのが大切なのではないかなと思います。
解像度が高くない分野での人材をどのように評価するのか、というのが疑問として上がってくるかと思います。そこは、その分野での専門性の高い人に面接に入ってもらいます。自分が見るのは、freeeというカルチャーにフィットするかどうか、信頼できる人か、その人が専門性が高いと言っている領域を任せられるかどうか。入社後も、360度評価で、上からも横からもその人が評価されるので、きちんとワークしているのではないかなと思います。
嶺井: それでも、いざ任せるとなると不安感などを払拭する必要があるのではないでしょうか。
東後: 実は、私は飽き性なんですよ。ずっと同じことをしていると、「もう、任せようかな」と。ノウハウではありませんが(笑)。
それに、役割に固執することもないんです。一生、CFOという役割を担いたいと考えたことはなく、自分の代わりにできる人がいるなら、その人に任せたい。COO時代もそうでしたし、CPOである現在も同じように考えています。
freeeという事業が最終的にミッションを達成し、成長しさえすれば、肩書や役割は気にしない、自分より良い人がいれば、その人にお任せしたいという考えがあるんです。
どんなCxOも「やることは9割方同じ」
嶺井: 最後の質問です。CxOに向いている人ってどんな人だと思いますか。
東後: CEO以外のCxOって、多少、役割が違うだけで、やることは9割方同じなんですよ。残りの1割は専門性。経営目線で、会社全体の事業、プロダクト、組織の成功に向かって、フラットに考えられる人が向いているのではないかなと思います。
むしろ、特定のCxOという肩書にこだわりを持ってしまうと、本質を見誤ってしまうリスクが高くなる。肩書やキャリアではなく、事業の成長をフラットに見て、自分がそこでどのように貢献できるのかを考えられる柔軟性を持っていることが、重要な素養なのではないかなと思います。……って、私のキャリアを正当化するために言っているようなものですが(笑)。
嶺井: いえいえ。今日はありがとうございました。
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