待合番号と広告が掲出される「スシロー」のデジタルサイネージ どのように運用しているのか:応援広告も
各企業でリテールメディアに参入する動きが強まっている。2021年にはファミマが参入し話題となった。大手回転寿司チェーンのスシローではどのように運営されているのか。
自社の店舗などでメディアを運営し、広告収益を得る「リテールメディア」への参入が相次いでいる。2021年には、伊藤忠商事とファミリーマートがメディア事業を展開する会社を立ち上げたことが大きな話題になったが、他のチェーンではどういった運用をしているのか。大手回転寿司チェーン「スシロー」を展開するFOOD&LIFE COMPANIESの広報担当者に話を聞いた。
スシローの店内に設置されているデジタルサイネージは「スシローサイネージ」と呼ばれている。店内の待合室にサイネージを設置し、広告放映を開始したのは17年の春ごろからだという。19年の秋あたりからは、待合番号も表示するようになった。
1店舗当たりの1カ月間の再生回数は1620回程度を見込んでいる。スシローの主な顧客はファミリーなので、その層に訴求できるような学習塾、スマホゲーム、不動産関係の出稿が多いのも特徴だ。サイネージに掲出するのは、お店のキャンペーンが7割で、他社広告が3割という構成になっている。メディア(広告媒体)としての位置付けだけではなく、顧客へのコミュニケーションツールとしての側面も重要視した結果だという。
同社では、全国のスシロー店舗に一斉に広告配信ができる「全国枠」と、1店舗単位での広告配信が可能な「地方枠」を用意している。広報担当者は「1店舗から放映できるという手軽さもあり、地域密着媒体としての側面もあります。そのため、幅広い業種からの申し込みをいただいています」と説明する。
また、サイネージには、視聴計測機器「AI Beacon」を設置。おおよその視聴者数なども計測可能だとしている。
ちょっと変わった動きとしては、俳優やタレントのファンがお金を出し合って応援広告を出稿するという企画が過去にあったという。例えば、8月29日〜9月4日、タイ出身の人気俳優が来日することをお祝いする広告が掲出された。放映時間は10分に1回で、全国約600店舗のサイネージが対象だった。期間中、ファンが多数来店するだけでなく、SNSでも楽しんでいる様子も見られたという。広報担当者は「お客さまとの新たな楽しみ方や接点を発見することができたのではないかと思っています」とコメントした。
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