脱「1皿100円」で沈むスシロー、くら寿司 値上げが受け入れられない根本原因:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(3/3 ページ)
くら寿司が2022年10月期決算を発表し、2期連続の営業赤字となった。回転寿司業界では値上げが進み、「1皿100円」時代が終焉を迎えようとしている。一方で、値上げは反発を招くもの。どうすればいいのか。
その背景には、「送料無料」で気軽に配達を依頼する消費者の増加や、配達時間帯に受け取れない「再配達依頼」の増加によって、配送ドライバーの負担が消費者に理解を得られた点にあるだろう。
佐川急便の配達員が、顧客の段ボールを地面にたたきつける動画が16年末に大きく炎上したことを覚えている方も多いかもしれない。炎上当初は配送ドライバーや佐川急便に対してバッシング一辺倒であったが、配送ドライバーの過酷な労働環境や待遇にスポットライトが当たる形となり、同情的な声も多く寄せられるようになった。
消費者が値上げを受け入れるためには、このような「同情」であったり「仕方ない」という理解が必要なのだ。アイス「ガリガリ君」の販売元である赤城乳業は16年、10円値上げのために大規模な謝罪CMを流し、プロモーションとして大成功を収めた。
一部では、この程度の値上げで社員が謝罪するCMを流すことに違和感を持つ人もいたようだが、結果としてガリガリ君は値上げとともに販売数を増やすという卓越した成果をもたらした。
今回取り上げた回転寿司チェーンも、今後「値上げがいかにやむを得ない環境か」を消費者に丁寧に理解してもらうことによって、客離れの影響を緩和することができる可能性があるだろう。
筆者プロフィール:古田拓也 カンバンクラウドCFO
1級FP技能士・FP技能士センター正会員。中央大学卒業後、フィンテックベンチャーにて証券会社の設立や事業会社向けサービス構築を手がけたのち、2022年4月に広告枠のマーケットプレイスを展開するカンバンクラウド株式会社を設立。CFOとしてビジネスモデル構築や財務等を手がける。Twitterはこちら
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