「戦略がないのが戦略」 セコマ会長が語る、買い物難民を救った「初山別店」開業の背景:奇跡のコンビニ(1/4 ページ)
「奇跡のコンビニ」として知られるセコマ初山別店をご存じだろうか。出店当時の人口1200人。セコマ会長が語る「戦略がないのが戦略」の真意は──。
買い物難民を救った「奇跡のコンビニ」として知られる「セイコーマート初山別店」をご存じだろうか。出店当初、初山別村の人口はたった1200人。今後も人口減少が見込まれる中、どのような戦略で過疎地への出店を実現したのだろうか。セコマの丸谷智保会長に話を聞くと「戦略なんてありません。ただ“何とかしてあげたい”という気持ちで、実際に何とか出店しているんです」と笑う。「戦略はない」とは一体――。
商店が閉業 買い物ができない状況に
「セイコーマート初山別店」(北海道初山別村)がある初山別村は、北海道の北西部に位置する。11月30日時点の人口は1075人、世帯数は525世帯の小さな村だ。セイコーマート初山別店が出店した2014年の人口は1200人だったため、8年前と比較して約10%減少した。
13年に初山別村の宮本憲幸村長が、セコマ本社に出店を直談判しに来たのが始まりだ。村の万屋(よろずや)的存在であった商店が閉店してしまい、村の中心部から店が1軒もなくなってしまったのだという。丸谷会長は「村長が何度もいらっしゃって、お願いされたんです」と当時を振り返る。
しかし、人口1200人の村に店を出すことは当然のことながら難しかった。店舗の減価償却費、物流、人件費や光熱費、家賃、土地代などのコストに対して、それに見合う売り上げがなかなか見込めずにいた。しかし、宮本村長と丸谷会長は諦めずに出店の方法を模索し続けたという。
【お詫びと訂正:2022年12月28日午後1時00分 初出時「村で唯一の商店が閉店」としていましたが、正しくは「村の中心部にあった商店が閉店」でした。お詫びして訂正いたします。】
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