NTT東日本の「売店」を大改造! データを分析したら、どうなったのか:「実証実験」の結果(2/4 ページ)
NTT東日本の本社ビル内に、昔ながらの「売店」があった。しかし、である。売り上げが伸び悩んでいたこともあって、テクノロジーをどんどん導入することに。その結果、どういったことが起きたのかというと……。
データを分析したところ
NTT東日本の本社ビル内で実証実験を始めたのは、2020年9月のこと。従来の店舗はスタッフの経験と勘に頼る部分が多かったが、スマートストアを運営することでどのようなことが分かってきたのだろうか。
客が入店して購入するまでの間、どんな行動をしていたのか、その人は男性なのか女性なのか、20代なのか30代なのか、ジュースの棚にどのくらい滞在していたのか。これまでよく分からなかったことが、データとして浮き彫りになってきたのだ。
例えば、店内では近隣のベーカリーショップから17品目を仕入れて、棚に並べている。それをどんな人たちがどのくらい滞在しているのかといったことを分析して、商品を発注してみた。その結果、売り上げに変化はあったのだろうか。テルウェル東日本でスマートストアを担当している眞木宣文さんに聞いたところ、次のような答えが返ってきた。
「従来の店と比べて、パンの売り上げは1.5〜3倍ほど伸びました。『パンを買いたいなあ」と思っている人がいるにもかかわらず、店舗のスタッフは売れ残りを恐れて発注を控えていたのかもしれません。データを分析したことで、機会ロスを解消しただけでなく、商品ロスも2%まで下げることができました」と。
このほかにも、店内にはさまざまな工夫を凝らしているわけだが、気になったことがもうひとつある。「デジタルサイネージ」だ。店内を見ると、大きなモノから小さなモノまで、縦長のモノから横長のモノまで、7台のサイネージを設置している。画面を見ると、商品に関係する映像が流れているわけだが、大きな声で言えないことがある。筆者は「サイネージってそれほど効果があるものなの? 紙のPOPでよいのでは?」と懐疑派である。
テルウェル東日本の担当者の一人も「ワタシもそのように感じていたのですが、設置したところ想定外の結果が出たんですよね」というではないか。サイネージを設置した当初は、さまざまな動画を流していた。「じゃんじゃん流せば、どれかひとつくらいは当たるでしょ」といった感じで、数撃ちゃ当たる理論で始めたものの、商売はそれほど甘くない。結果が出なかったのだ。
この話を聞いたとき「ほら、やっぱり。懐疑派の圧勝!」とニヤニヤしていたわけだが、新商品が並んでいる棚の前で滞在している人に向けて、その商品の動画を流してみたそうだ。例えば、「カラダにいい」をウリにしているチョコレートがあれば、その成分は何か、カラダにとってどのようにいいのか、といった情報である。
動画を垂れ流すようなことをやっても効果がなかったものの、「その商品のことをもっと知りたい」と感じている人に向けて、詳しい情報を提供する。ちょっとした工夫を凝らすだけで、「サイネージを設置後、新商品の売り上げは1.8〜2倍ほど伸びました」(眞木さん)
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